デジタルデータと著作権 - 中川雅央(滋賀大学)

    あなたは,無意識のうちに
 著作権 を侵害していませんか?

  デジタルデータ の特徴
  普段よく利用するワープロ文章や表計算データなどもデジタルデータ(電磁的情報)であり, 近年あらゆるもののデジタルデータ化が急速に進展しています. そのデジタルデータには次のような特徴があります.
   ・ 完全なコピー(複製)が容易(クリックひとつで簡単コピー)
   ・ アレンジ(改変)が容易(簡単操作でリアルにアレンジ)
   ・ オリジナル(本物)とコピー(にせ物)の区別が困難
   ・ ネットワークで瞬時に全世界に大量に送受信が可能
  このようにデジタルデータは,いわゆる「盗作」または「にせ物」を 容易に作成できてしまうことに 注意しなければなりません.

  音楽CDやDVDビデオなど著作物は無断で複製できない
  著作物を著作権者に無断で複製することは禁止されています.
  著作権法では複製の手段やその方法については,特に規定されていません.つまり, 手書きの場合や,パソコン,デジカメ・カメラつき携帯電話,コピー機,録音・録画装置など の機器を使う場合など,著作物である映画(ビデオ)等の映像や楽曲(音声), 絵画や書籍の内容を デジカメやカメラつき携帯電話等で撮影するなど,デジタル化する行為も 同じく複製になり,原則として著作権者に無断ですることはできません

  ファイル交換ソフト と 著作権の侵害
  いわゆるファイル交換ソフトを使用して, 音楽や映画などの著作物を 著作権者の許可を得ずに,ネットワーク経由で不特定多数に ファイル交換(複製)できる状態にすることは, 明らかな著作権法違反 となります.
  著作権法では,著作物を 著作権者に無断で複製することを禁止しています.さらに,著作権者の許可を得ずに ネットワークでファイル交換が可能な状態にすることは,著作権法上の 公衆送信権等(第23条)の侵害となる上.複製物の目的外使用を禁止(第49条)する規定に 違反することにもなります.

  プログラム のコピー,複数PCへのインストール
  コンピュータ・プログラムやデータベースは著作物として法律で保護されており,著作権者に無断で他の記録媒体にコピーすることは著作権法違反になります.
  他の記録媒体にコピー(複製)する行為・操作とは,コンピュータ・ソフトウェアのCD-ROMをコピー(複製)することだけでなく,ネットワークからのダウンロード,ネットワークへのアップロード, バックアップ,ハードディスクへのインストールなども含まれます.
  著作権法では,プログラムのバックアップを1セットとることが認められていますが,これはあくまでも プログラムの破損に備えて行うことを目的としており,他の目的(他人にあげる,他で使用する等)で 使用することは著作権法で禁止されています.またコピープロテクトが施されているものは 著作権者がコピーを許可していないものであるため, 著作権者に無断でコピーすることはできません.
  インストール操作も他の記録媒体へのコピーとなりますが, 多くの市販ソフトウェア等は使用許諾契約書等で 他の記録媒体(ハードディスク等)へ1つだけインストールすることを 著作権者(制作メーカー等)が許可しており,著作権者に無断で 他の記録媒体にコピーすることにはなりません. 契約内容をよく確認することが重要です.

  引用 における注意事項
  コピーが容易なデジタルデータを引用する際には,著作権の侵害とならないよう 特に注意しなければなりません.著作物を著作権者に無断で複製・改変することは 禁止されており,引用に関しては著作権法で厳密に規定されています. 引用する際には次に挙げる事項を満たす必要があります.
   ・ 引用する著作物は公表されたものであること.
   ・ 自分の著作物と引用部分は明瞭に区別されていること.
       (かぎ括弧を付ける,段落を分けるなど引用箇所を明示する)

   ・ 自分の著作物が主であり,あくまで引用する著作物は従であること.
       (内容の大半を引用が占める著作物は,引用ではなく複製になってしまう)

   ・ 引用する必然性があり,その目的上正当な範囲内であること.
       (必要な部分のみを抜き出すなど,むやみに全てを引用しないこと)

   ・ 引用の出所(出典)の明示がなされていること.
       (引用した著作物の 著作者名,著書・掲載紙名,発行年,論文タイトル等を明示する)


  著作権侵害の罰則・対抗措置
  著作権の侵害は犯罪とされています.また侵害を行った者が 故意であったか過失であったかは問われません. 被害者(侵害された著作権者)が告訴した場合, 個人には3年以下の懲役または300万円以下の罰金,法人には1億円以下の罰金に 処罰されることが規定されています.
  また被害者は,侵害行為が生じている場合に その行為を停止させる差し止め請求,侵害行為によって生じた財産的損害を回復するための 損害賠償請求や不当利得返還請求,著作者の名誉回復のための訂正文や謝罪文・謝罪広告の掲載を求めるなど, 民事上の法的な対抗措置をとることもできます.
  このように,著作権侵害は重い刑罰や法的措置を受けるだけでなく, 社会的信用も失う,非常に重大な犯罪であることを認識しなければなりません.

  著作権を保護するという意識を持つことが大切
  著作物の種類や用途等から判断して著作権者の利益を不当に害しない ことを条件に,個人的または家庭内その他これに準じる限られた範囲内での使用に限り 著作権者の許諾を得なくても必要最小限の複製が認められていますが,これは 複製を使用する範囲が極めてプライベートで特定の少人数に限られることを意味します. また使用する者が複製することとされており,業者等に複製を依頼することはできません.
  無意識のうちに著作物を著作権者に無断で複製して著作権を侵害してしまう ことにならないよう注意し,日頃から著作権を保護するように意識することが大切です.


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