【2018/6/9 フォーラムの模様】

物流の現状と物流における第4次産業革命
への対応

島 雅之(国土交通省自動車局次長)
竹村彰通(滋賀大学データサイエンス学部長)
筒井公平(株式会社複合物流代表取締役)
松本 弘(三菱地所株式会社物流施設事業部担当部長)

  平成30年6月9日、滋賀大学経済学部主催で上記フォーラムが<士魂商才館>で開催された。 現在、日本経済を支える物流の根幹である高速道路の自動車輸送は、高齢化・長時間労働・人手不足と低生産性で危殆に瀕している。 今回、その現状と根本的解決策として検討されている、ビッグデータとAI、IOT、データサイエンス(DS) を駆使した自動運転輸送と新交通システム構築について、官・学・産の各方面より報告と討議が行われた。

 まず、国土交通省自動車局次長の島雅之氏から、自動運転の内外における開発動向を踏まえ、 政府の推進ロードマップ・制度整備・国際的安全基準や保険対策が示され、その上で自動車運送事業やトラック隊列走行、 中山間地やニュータウン等における多様な自動運転の社会実装が紹介され、自動運転をめぐる現状と政府の対策が総合的かつ詳細に提示された。

 第2報告では、本学DS学部長・竹村彰通教授が、ビッグデータ時代の革新的意義から説き起こされ、現在の交通・物流の実相を、 GPSや車間連結した情報、センサーやレコーダーを装備したビッグデータ時代の自動車交通事情を解説され、 ニッセイ同和損保会社との共同開発をはじめ産学連携しつつDSの人材育成に取り組むDS学部の活動を紹介された。

 第3報告では、株式会社複合物流社長の筒井公平氏から、日本経済全体の基幹物流を支える高速道路トラック輸送の自動運転・隊列走行と、 巨大都市周辺で高速道路直結型の物流プラットフォームの建設事業が、AI、IOT、DSを駆使して企業化される必要性について詳細なデータとともに示され、 この部門が外資に握られることの危険性に警鐘を鳴らされた。

 この後、質疑応答に移り、まず全国で物流施設等の豊富な経験を有する三菱地所株式会社担当部長の松本弘氏から、 全国展開する事業の紹介と、改めて高速道路自動運転体制と連結したプラットフォームなどインフラ整備の重要性、 そのための行政・大学等研究機関・企業が結集したコンソーシアムなど合同研究体制の必要性が示された。

 続いて会場から、政府の対策の実効性や実際の事業化の中身、またDSの関わり方など、多岐に及ぶ問題について積極的な質疑が寄せられ、 それへの応答を通して「物流における第4次産業革命への対応」に関するより深い理解が、会場全体に行き渡っていった。

 今回のフォーラムは、位田隆一学長、田中英明経済学部長の開会の辞から始まり、参加者は、関東・東海・近畿・九州から参集された30余の企業、 県庁及び内外の研究者、学生・市民を含め、総勢70名であった。またこのフォーラムを通して、企業間、 また企業と研究者や官庁との相互理解と連携が深まり、その意味でも有意義な成果があったと思われる。
                       (文責:コーディネータ、経済学部教授 筒井正夫)