【2017/7/12 経済学部講演会の模様】

FAOの取り組みと人的資源管理
−ダイバーシティ・マネジメントと雇用機会

Mbuli Charles BOLIKO
(FAO 国際連合食糧農業機関 駐日連絡事務所長)

 この講演会は、滋賀大学で学ぶ学生の皆さんを対象に、 国連全体の組織構造におけるFAO(Food and Agriculture Organization of the United Nations) の位置づけと役割について理解を深めることと同時に、多国籍の人的資源が協働する国連組織の ダイバーシティ・マネジメントについて学習することを目的に企画されました。

 近年、いわゆる「食品ロス」が日本国内でも年間632万トンに上り、 食料廃棄物が排出する二酸化炭素の削減が環境問題の一環として注視されてきています。 世界に分布する食料や農業に関連する国連組織は3つあり、 農業や食料生産プロジェクトに資金援助をするIFADや、飢餓や貧困に苦しむ地域に食糧を配布するWFPがあります。 3つめのFAOは、食糧を与えるのではなく、食糧の無い人々の自立した食料生産を支援する活動組織として、 経済、アグロ・インダストリー、自然資源、インフラ、情報コミュニケーション技術等々、様々な事象と連関し、 "Zero Hunger"(飢餓ゼロ)の食料安全保障の達成を業務目的として活動している点が特徴とされます。 日本で暮らす私たちも、賞味期限に過剰反応して食品廃棄物を無為に増やしたり、食べ残しをしたりするのではなく、 地球環境のためにできる工夫があることを学びました。

 講師のボリコ氏は、日本の国立大学の大学院で学び、博士号を取得した後、 大学助手の勤務を経て1997年から国連職員として、 ローマ、ニューヨークで人事部門の管理者として多くの採用人事に関わってこられました。 その経験から、国連職員のキャリア・パスのしくみや、 日本の若者に向けた国際公務員へのチャレンジを鼓舞する熱いメッセージも頂きました。 国連組織で働くためには、公用語として、英語、フランス語、スペイン語のいずれかが working knowledgeとして必要であり、それ以外にロシア語、アラビア語、中国語から最低1か国語が limited knowledge として必要であるそうです。残念ながら日本語は入っていませんが、 ボリコ氏は、本講演での講義も、日本人学生が知らない日本のことわざを織り交ぜながら、 完璧な日本語で質疑応答に至るまでわかりやすく進めてくださいました。 ご自身が留学生として初めて来日されたときは、日本語はもちろん英語すらできず、 1頁のテキストを訳すのに膨大な時間を費やす努力を重ねてきたという体験談を通じ、 滋賀大生に対して、国連への応募に必要な要件の他、自分の未来のために時間を有効に使うこと、 諦めずに努力を惜しまないことの大切さも語られました。

 大合併教室がいっぱいになるほどの受講者で、 学生からの質疑応答も環境に対する意識や国連組織への関心など多岐にわたり、 盛況のうちに本講演会は終了しました。学生から得た感想集をまとめ、 後日、講師のボリコ氏に届けることも約束しました。

 海外ご出張間際の過密なスケジュールの中、ご講演いただきましたボリコ氏と、 事前のご準備にお力添えを下さりましたFAO駐日連絡事務所の武本様、職員皆様にも御礼申し上げます。 最後に、いつも本企画について全面的なご支援を下さります経済経営研究所のスタッフの皆さま、 経済学部講演会の制度に深く感謝申し上げます。  (経済学部教授 澤木聖子)