【2016/11/28 経済学部ワークショップの模様】

《日台国際交流の多面的研究 第3回》

東日本大震災と台湾
−「震災」を通じた国際連携−

松金公正(宇都宮大学国際学部教授)

  「日台国際交流の多面的研究−経済・文化・歴史からのアプローチ−」の第3回ワークショップとして、 台湾の宗教・文化等を長年研究されてきた宇都宮大学国際学部松金公正教授を招き、 「東日本大震災と台湾 −「震災」を通じた国際連携−」をテーマとした講演会を開催した。

 本講演は、歴史をはじめとする様々な側面から日本と台湾との関係性を分析し、 東日本大震災を通じて、これからの日台の国際連携のあるべき姿を考えるものであった。 講演では、 まず、身近な時事問題から台湾と日本の「二重国籍」の起きた背景や台湾の国旗に隠された真実が解説され、 「台湾とは?」というシンプルな問いかけの意外な複雑性が引き出された。そして、日台の関係性について、 相互理解における日台間の情報量がアンバランスだという現状を提起し、従来の日台関係の常識に対し疑問を持ちかけた。 例えば、日本植民地時代から保存された台湾の建築物や日本人への祀りなどは、親日の象徴や台湾の日本への好意だと理解されがちだが、 実際、歴史的経緯をたどると、必ずしもそうであると言えない部分もあった。さらに、講師は客観的なデータを用いて日台関係の深層を考察した。 台湾の人々の対日認識の調査では日本に好感を持つ台湾人の割合が高いという結果は台湾人の「親日」のイメージと一致している。 しかし、台湾への影響力や、外交、人的往来、学術交流、経済関係といった側面のデータを精査すると、 日本と台湾の交流は限られた範囲にとどまるという現実も明らかになった。 最後になぜ、東日本大震災の時に台湾から多額の支援があったのかについて、地震は日本と台湾との共通な災害という切り口から説明がなされた。 日本と台湾は多くの大震災を通じて民間レベルの情報共有や関係づくりを図り、その影響は国交のない限界を克服し国レベルの地震対策交流にも及ぼした。 しかし、今後の日台関係に向けて、日台間の相違と誤解を克服しなければならない点、着目すべき議題も多いということも指摘された。

 講演会の参加者は教員と学生と合わせて約30名強であった。 質疑応答では、多くの参加者は日台国交のない現状や台湾国旗の限定性に驚き、「親日」という言葉を安易に使うことの危うさ、 歴史的背景を踏まえた正しい理解の必要性などを気付かされた。今回は、日本と台湾の友好関係を根本から問い、 日台間の国際連携を築くためにはどうすべきか、参加者にとって多く学び、多く考えさせられた有意義なワークショップであった。