【2016/12/16 経済学部講演会の模様】

ひきこもりとパプアニューギニア

川合雅久(フリースクール英明塾)

 本学社会システム学科に在籍する野瀬の科学研究費課題 「ニューギニア諸言語の動詞形態調査−マダン州におけるテンス・アスペクトの記述−」(課題番号15K02478) のアウトリーチ活動の一環として、パプアニューギニアを知ってもらうための講演会を実施した。 今回は、ひきこもりや不登校、発達障害などの人々をパプアニューギニアへ連れていくことで、 治療のきっかけとして活動を実施されている川合雅久先生をお迎えし、「ひきこもりとパプアニューギニア」 という題目で講演会を開催した。

 パプアニューギニアは、人口670万ではあるが、国土の面積は日本よりも少し大きい地域に、800以上もの言語が話されている。 国民の生活は、西欧風の暮らしをする者もいれば、水道や電気、ガスのない村で暮らす者も多く存在する。 日本のほぼ南、オーストラリアの北に位置し、赤道直下のパプアニューギニアの低地地域では年中30度を超す一方、 ハイランドと呼ばれる2,000メートル以上の地域では、雪が降るし全然暑くもならない。

 川合先生は、ニューギニア航空が日本への直行便を開始した1990年代からパプアニューギニアと関わり、 日本のひきこもりや不登校の子供や大人を同伴し、彼らを「癒す」旅を実施されている。 ひきこもりについては、 現代日本でも子供から大人まで存在し、その数は増えるばかりであるが、 そのような人々を異国でかつ文化もまったく異なるパプアニューギニアへ連れていくのである。 パプアニューギニアでは、片言の英語による現地の人々との交流、食事や住居のトラブルなど、 困ったことも多いのだが、現地特に低地地方では、常時暑いため自動的に薄い衣服になること、 現地にはほとんど日本人がいないため人目が気にならないこと、海でシュノーケリングやカヤックに挑戦したり、 村や小学校を訪問して、異国の人々と触れ合うことで、ひきこもりの人たちは少しずつ殻を破ることができ、 そこから学びや発見という成功体験を得ることができると主張された。

 実際、私も2006年以来毎年のようにパプアニューギニアを訪問しているが、日本とはまったく異なる文化や思想、 生活様式は、私にとっても大きな学びであるし、パプアニューギニアの人々と話すことで、 人生に豊かさを(お互いに)与えてくれるように思える。

 講演会参加者は少なかったが、質疑応答ではひきこもりや殻に閉じこもってしまった人への対応法やパプアニューギニアの見所や 日本との関係や文化的な違い等、さまざまな意見交換をすることができた。   (文責:社会システム学科准教授 野瀬昌彦)