【2015/8/17 経済学部ワークショップの模様】

《大学における外国語教授法ワークショップV》

新潟大学の英語教育について

平野幸彦(新潟大学教育研究院人文社会・教育科学系准教授)

 外国語教授法をテーマとしたこのワークショップではこれまで、 さまざまな教育実践について報告を聞いてきたが、 今回はそうした教育実践の背後にある制度の側面に焦点をあてたワークショップを実施した。 講師は、新潟大学において全学向けの英語教育制度の構築を担われてきた平野幸彦氏(新潟大学准教授)であった。

 1991年のいわゆる「大学設置基準の大綱化」とそれにともなう教養部の廃止、 2004年度からの国立大学法人化など国立大学における外国語教育を取り巻く状況はこんにちにいたるまで大きな変化を余儀なくされている。 そのなかにあって新潟大学では、1994年の教養部廃止後の全学英語教育体制について種々の改定がおこなわれてきた。 それがひとつの形としてできあがったのが、2005年のカリキュラム改定である。そのきっかけは非常勤講師削減問題であったが、 「バラバラな英語教育では困る」という、専門教育を担う学部からの要請でもあった。カリキュラム改定は、こうした問題や要請を受けて、 全学における英語教育の目標をEnglish for General Academic Purposesと定め、統一的なカリキュラムを構築するというものであった。 柱は三つである。まずひとつは、プレイスメントテストとしてのTOEIC-IPの導入(一年生の夏)と、 それを利用したリメディアル科目の単位認定であり、次には、少人数クラスによる2単位科目の設定、 そして最後に、習熟度別クラス編成である。この改定は2011年度にさらにリファインされ今日にいたっている。

 しかしながら、近年の「大学改革」によってさらなる変更が求められている。新潟大学では大学教育再生加速プログラム、 いわゆるAP事業が採択され、学外学習プロクラムとそれにともなうクオーター制の導入が喫緊の課題となっている。 外国語教育においてはとりわけ、第二クオーターに学外学習が組み込まれたばあいのカリキュラム編成が大きな課題となっている。

 また、理工系学部向けの英語教材開発についてもご紹介いただいた。 基礎的な教育に相当するEnglish for General Academic Purposesではなく、 専門教育につながる英語教育(English for Specific Academic Purposes) をどのように構築していくのかということを考える上での貴重な事例である。

 こうした新潟大学のアクチュアルな事例は、教員組織と教育組織の分離、 文理融合の新学部の設置を控えた本学あるいは彦根キャンパスにおける外国語教育のあり方を考える上で、 大きな示唆を与えてくれるものであった。なお参加者は6名であった。 (文責:坂野 鉄也)