【2015/6/23 経済学部ワークショップの模様】

《ワークショップ ReD》

療養者を描く−ハンセン病をめぐる現在

石居人也 (一橋大学大学院准教授)

 ワークショップReDの第2回は、「療養者を描く―ハンセン病をめぐる現在」と題して、 拙著『島で―ハンセン病療養所の百年』(サンライズ出版、2015年)の合評会をおこなった。 報告者は石居人也さん(一橋大学大学院)。石居さんによる評は、「人に即して描く」「場に即して描く」 「史料に即して描く」の3項が観点として掲げられ、療養所における人びとのつながり、結びつき、 結びあいに着目しながら、療養者個別の特異性や希少性と療養者という共通性の確認を描くこと、 人為性をもって形成された療養所という場に導入された外の秩序や、またそうした場に即く生の探求を描くこと、 フィールドにおける史料の歴史を考え、それをとおして歴史を描くこと、が論点として提示された。

 ディスカッションでは、報告者が示した論点をうけて、ひとに生きやすい地域とはなにか、 という観点からそこに生きる人びとの描き方、また、フィールドを記録するわたしを記録する、 そのわたしをめぐる男性性、といった点が提起された。

 前者については、ひとが生きやすいということには、ひとが生きづらいということが背中あわせのようにはりついていて、 そうした場であってもひとは生きる、その生を部外者の手前勝手な観点で裁断することなく、 しかしどうにも逃れがたいその手前勝手さを自覚しながら、その生を描く手立てを探りつつ史料に即して歴史をあらわしたいと応じ、 また、後者については、療養所における男女の構成比はもともと女が少なく、 そうしたなかで大島の療養所では女をめぐる史料もいくつかあることを示し、 それをまた大島の療養所と療養者の歴史を描くときに、どういったスペース、ページ、 章立てを設けて女を描くのかを念頭において作業をすすめたいと述べた。

 わたしにとって、つぎの仕事をすすめるために有意ないくつものヒント (hint)もキュウ(cue)も得た幸いなワークショップとなった。(阿部安成)