【2015/6/3 経済学部ワークショップの模様】

《ワークショップ ReD》

辺野古の今−不屈の現場−

金井創 (日本基督教団佐敷教会牧師)

 ワークショップ ReD〔Rethinking excessively for Documentation〕 は、 現在わたしたちが向き合うべき課題はなにか、それを討議するときの論点はなにか、 またわたしたちが議論をする場を可能なかぎり開いてゆくための手立てはなにか、 を考えてゆくワークショップである。

 第1回目として、沖縄の辺野古で米軍新基地建設の反対運動の最前線に立つ、 金井創さんをお迎えして、「辺野古の今−不屈の現場−」と題してお話を伺った。 以下に概要を記す。

 沖縄の全国土に占める割合はわずか0.6%であるが、 その小さな島に日本における米軍施設の約74%が集中している。 沖縄の復帰後の43年に限っても、45機の米軍機が墜落をしている現状がある。 同じ敗戦国でも日本と比較して、ドイツ、イタリアでは米軍の行動は厳しく制限されている。 嘉手納基地の年間離発着回数は42,000回で、多い日には400回にもなる。

 辺野古は普天間基地の移転先というが、滑走路はこれまでの2倍、 普天間にはない辺野古弾薬庫が併設してあり、271メートルの強襲揚陸艦が着岸できる施設も作られようとしている。 辺野古の海は日本本土の生物多様性の60倍にも及ぶとされ、埋め立てというよりも「命の生き埋め」である。

 金井さんはこうした客観的な数字によって現状を語る一方で、 抗議船「不屈」の船長として目の当たりにしている海上における抗議運動の生々しい現状も語られた。 抗議者の排除を行なう海上保安庁の法的根拠が希薄であり、近くで米兵が遊泳しているようなところで、 「安全確保」と称して排除が、暴力的な形で続けられていることが報告された。 「不屈」も海上保安庁の船に当たられて大きく破損し、一時期活動できない状態となった。

 しかしながら、激しい抗議の現場にあって、 海上保安庁の職員とも心の通ったコミュニケーションがなされることもある。 新聞では報道されない、他愛のない言葉のやり取りやら、おやつの交換やらであるが、 そこから多くの政府職員は職務として市民の排除等を行なっているだけであることが伺える。

 金井さんたちの平和運動の基軸は、 沖縄で非暴力の平和活動を貫いた阿波根昌鴻さんの「平和の武器は学習。平和の最大の敵は無関心」という言葉と、 不屈の精神を貫いた瀬長亀次郎氏の「弾圧は抵抗を呼ぶ。抵抗は友を呼ぶ」という言葉にあらわされる。

 辺野古の基地建設に対する地元の意思は、名護市長選、衆議院選、 そして県知事選と3度連続で明確に示されているにもかかわらず、 基地の建設は中央政府の強い意志によってすすめられている。 辺野古の問題は民主主義が試されているということでもある。

 以上が講演の概要であるが、その後、本学の阿部安成さんから、 ハンセン病患者や原子力発電を取り巻く状況(大多数の安全や安心のために、 少数者が抑圧される現状)との相似性が指摘され、 われわれは−特に本土に住むわれわれは−この事態をどのように考えたら良いのかという問いが提示され、 参加者も含めた討論が行なわれた。 (文責:中野桂)