【2015/12/10 定例研究会の模様】

アクティブラーニングの各技法と効果的な運用のための課題

東京大学「インタラクティブ・ティーチング」講座受講(教員研修)報告を兼ねて

庄司一也 特任講師

 本報告は、東京大学・大学総合教育研究センターが開講する「インタラクティブ・ティーチング講座(教員向け研修)」 のリアルセッションの内容報告と、報告者の見解を整理したものである。 具体的には、本講座の核心が「アクティブラーニング(以下AL)の意義と技法」であったため、本学滋賀大学においてALを推進していくに当たり、 教育工学的に効果が証明された各技法の紹介と、 それらを効果的に授業に取り入れた主体的・能動的な教育学習環境を構築にするにあたっての課題や留意点を考察した。

 今回の報告で取り上げたAL技法は、「Think Pair Share」「ピア・インストラクション」「ポスターツアー」「ジグソー法」の4つであり、 そのなかで本学における実践事例も含め報告した。そしてそれらの取り組みの反省点や、 より効果的に上記の技法を取り入れていくためには以下の点に留意する必要がある。 まずは「モチベーション」である。いくら教育・学習環境を整備して効果的な技法を導入しても学生のモチベーションが高くなければ効果の高いALにはならない。 そこで、適切な授業設計が必要であること、すなわちインストラクショナルデザインが重要であることを解説したほか、 「教員にできること」を考察した。

 また、主体的な学びを促進するためには、授業開講前に作成する「クラスデザイン」と「シラバス」が重要になってくる。 「確認の観点」ほか、特に、「目的と目標設定の意義」について考察した。また、ALは主体的な学習活動となるため、 学習者に対する「評価」が重要になってくる。その際に一つの指針ともなるべき「ルーブリック」について実物をご覧いただきながら特徴と問題点について共有した。 併せて、協調的な学習方法を推進するための学びあいのテーマともなりえる「敬意をもって・忌憚なく・建設的に」の3Kについて説明した。

 以上のように、ALの各技法を用いる上で、事前に考えておかなければならない点を解説・共有したが、 本報告で最も主張したかったことは「アクティブラーニング自体が目的ではなく、 目的のないただの能動的学習は学生にとって『やらされている感』を与えるだけであって、効果的な学習方法ではない」という点であり、全参加者の理解を得た。

【付記】
 年末というなかで多数の参加をいただき、また貴重なアドバイスやご指摘をいただいたことに深く感謝申し上げます。 特に、今回報告をした「モチベーション」すなわち、どのように学習意欲を維持・向上させるかについては意見のみならず、 価値ある議論となりました。今回頂いた議論をもとに、今後の教育実践および研究活動に活かしていくほか、 機会があれば次回の定例研究会で課題点に焦点を絞った発表をさせていただきたいと思っております。 (庄司一也)