【2014/10/30 経済学部ワークショップの模様】

《大学における外国語教授法ワークショップII》

語学教育における文学研究者の役割を考える
―専攻語二年次の授業における試行―

及川茜 (神田外語大学アジア言語学科講師)

  「大学における外国語教授法ワークショップII」の第2回目が10月30日(木)に開催された。 講師には及川茜氏(神田外語大学)をお迎えし、 「語学教育における文学研究者の役割を考える―専攻語二年次の授業における試行―」 というタイトルでご講演いただいた。

 及川氏は日中比較文学を専門とする文学研究者である。 作家として一つの言語で書くことはその言語の歴史を背負うことである、という主旨のリービ英雄の文章を紹介されたあと、 及川氏は、中国語教授法を狭義の専門とはしていない文学研究者としてどのような中国語教育が可能であり有益なのかを、 実際の授業運営や使用教材の実例にもとづいて話された。  外国語に本当の意味で習熟するためには、単にその言語をコミュニケーションの形式的な道具として用いることができればよいのではなく、 母語話者であれば当然知っている事柄を同じように知っていなければならない。及川氏は、 香港の学生デモで貼られた横断幕に大書された魯迅「故郷」の一節や、劉暁波のノーベル平和賞受賞時の新聞記事などを例に挙げ、 形式と内容が切り離せないところにある中国語の面白さを伝えるための具体的な工夫について紹介された。 及川氏は、初歩の学習を終えた二年次の授業として、童話や小咄を中心とした自作のテクストや映像資料を用いながら、 文章を自分の力で読んで考える楽しさを学生に味わってもらうための授業を展開しているとのことである。 「餅は餅屋」という言葉があるように、語法や会話はそれぞれの専門の教師に任せ、自身はあくまでも文学研究者として、 中国語教育を通じて文学に対する関心も持ってもらえるように尽力されているとのことであった。

 講演は神田外語大学の中国語のカリキュラムの詳細にも及んだ。外国語を専攻とする大学と、 本学の第二外国語のカリキュラムを比較することはできないが、参加した本学の語学担当教員からは、 ゼミや卒論の様子、他の授業との関連、留学の実情、テクスト制作の裏側などについて具体的な質問や感想が出された。 本ワークショップは、及川氏のユーモア溢れる講演とその後の熱心な質疑応答によって、 非常に有意義で刺激的な意見交換の場となった。 (藤岡俊博)