【2014/7/25 経済学部ワークショップの模様】

《大学における外国語教授法ワークショップII》

ICT連携教科書による初修外国語授業の実勢について

川村和宏 (岩手大学人文社会科学部准教授)

  本講演では「大学における外国語教授法ワークショップII」の講師として, 岩手大学人文社会科学部でドイツ語を担当しておられる川村先生をお招きした。 川村先生は,携帯電話やスマートホンと連携させたドイツ語教科書の紹介をされ, 実際の授業でのその教科書使用の実績と,ICT機器による学習の分析結果を示された。 次に,岩手大で実施されているドイツ語多読プログラムの紹介を通して, とりわけ第二外国語への高等教育機関での取り組みとグローバル化対応に向けての議論を提起された。

 川村先生は高専や大学における長年のドイツ語教育経験から, 学生にドイツ語の授業に興味を持たせるにはどうしたらよいかを考えて来られた。 その結果,川村先生は,ドイツ語を教えている日本人教員4人とともに, 初修者用のドイツ語教科書を作成された。 この教科書は,品詞部分を品詞別に色分けしてカラフルに表示してあり, 教科書に書き込みしやすい紙質でできており, 値段もドイツ語教科書としてはリーズナブルな設定になっている。 内容的にも,なるべく学習者が途中で脱落しないよう設計されている。

 この教科書は,インターネット環境での学習にも配慮して作成されており, 教科書に印刷されているQRコードを通して, 携帯電話やスマートホンでウェブに置かれた練習問題をすることができる。 このネットでのドイツ語練習問題サイトは, 旧来の携帯電話でも最新型のスマートホン(Android/iPhone)でもPCでも, 同じようにアクセスできるように作られており,さらに素早く正解を出すと, ご褒美としてきれいなイラストが見られるなど,ゲーム的な要素も盛り込まれている。 講演では,この練習問題のアクセスログの解析を通して判明した学習者の傾向やこれからの課題について議論された。

 次に,岩手大学の授業で実施されているドイツ語多読プログラムの紹介をされた。 英語の多読プログラムを意識しつつ,多読のための幼児向け,小学生向け, さらにはドイツ語初学者向けの本を200冊以上揃え,それらをデータベース化し, 本の題目やジャンル,おすすめ度や簡単な内容を書き込んでおき,参照可能にしておく。 その上で,学生がドイツ語図書を読んでいき,コメントシートを提出させ, 少なくとも3万ワードは読ませるような授業の展開を説明された。

 最後に,現在,日本の国立大学はグローバル化対応や抜本的な改革のために, さまざまな教育プログラムや将来構想を実施すべく動いている。 岩手大学においても本学と同様,文系理系問わず試行錯誤しており, その点についても有意義な意見交換をすることができた。
 (経済学部准教授 野瀬昌彦)