【2014/7/24 経済学部ワークショップの模様】

《現代における危機の諸相とその対応策》

市場創造マーケティングの実践
−画期的新製品・三洋ホームベーカリー
"ゴパン"の誕生−

日本市場創造研究会副会長 竹内創成

  「生のお米を入れてスイッチを入れればパンができる」「小麦が苦手な人もパンが食べれる」 「米の消費と生産の減退を洋食のパンによって食い止めることができる」 「なにより自宅で米そのものから自分で作ったパンのおいしいこと」・・ そんな夢を実現した世界初の製品がかつて三洋電機から発売され空前の大ヒット商品となった「ゴパン」である。 この商品の名付け親であり、当初誰もが売れないだろうと揶揄したこの商品を、 販売・宣伝の力で大ヒットさせた立役者こそ、三洋電機において40年マーケティング部門一筋に歩んでこられた竹内創成氏であり、 今回お呼びした講演者である。

 竹内氏は、持続的にヒットする商品を売り出すためには、まず社会的ニーズを先取りした新商品そのものの質が高いこと、 その画期的機能をズバリ簡略に的を射て表現するネーミングが優れていること、業界初を目指し、 ライバル商品との価格競争に惑わされず、既存の販売ルートにだけ頼らず、 新商品が呼び起こす新たな社会的ニーズを掘り起こし作り上げていくこと、 それによって市場そのもののあり方を新たなものに変えてゆくことの必要性を強調された。 そしてこれらのことを新商品のアイデアの構築から、社内での製造同意の獲得、 販売ルートの開拓、等にわたって詳しく説明された。

 実は、私も、販売前から噂に上っていたゴパンの購入を心待ちにし、ようやく手に入れて、 小麦が苦手な娘に、日本のお米から作った安心安全なパンを自ら作って喜んでいる消費者の一人である。 前からこんな商品があったらなあと思っていた商品が嘘のように登場した時の驚きと喜び、 待ちに待って手に入れて使った時の満足度の大きさ、期待を裏切らず持続できる喜び、 こうした使い手に喜びを与え続ける商品が、いかに考案され、開発され、万人に分かるようにネーミングされ、 新たな販売ルートに乗って消費者に届けられたのか、その謎が、竹内氏の講演を聞いてよくわかった。

 竹内氏は、そうした自由なマーケッターが活躍できる社風と組織をかつての三洋電機が持っていたことも強調された。 そしてそうした社風こそ、かつての松下・ソニー・シャープ等にも共通した戦後日本企業の在り方ではなかったかと思われた。

 竹内氏は今、こうした新商品の創造と販売を研究し、その「成功率向上」を図るために立ち上げられた 「日本市場創造研究会」の副会長を務めている。そこには、 日本の各種業界で活躍する現役のマーケッター達やマーケティングの専門家も参集しておられる。 今、日本がデフレからの脱却に腐心している時、需給ギャップを真に埋め合わせるためには、 消費者が日々の生活の中から望む一歩先の隠れた需要願望を探知し、優れた技術で商品化し、 わかりやすく広告して広く消費者に届ける、そうした実践的経済・経営の在り方の探求が急務であろう。 今後とも是非これを機会に日本市場創造研究会とも連携を深めてゆきたい。 参加者は教員7名、学生・院生7名、社会人1名の15名であった。 (文責:筒井正夫)