【2014/10/9 定例研究会の模様】

高度交通システム
〜自動車にまつわる通信技術〜

川井明 准教授

 近年、都市の人口および車の保有量の増加に伴って、大都市では深刻な交通渋滞と 自動車排気ガスによる大気汚染が社会問題となっている。 2012年中国北京に発生したPM2.5大気汚染において、車の排気ガスが大きい原因であると指摘されている。 観測データでは、渋滞道路のPM2.5濃度は一般の道路より数倍も高いことが分かった。 交通渋滞は道路交通のほか、環境保護の課題でもある。渋滞の起因は多様にあるが、 一つは非合理な交通信号サイクルと思われる。例えば、ある道路に車両がほとんどないのに青信号が長く、 直交している道路の上で車両が長蛇の列になっていることがある。 また、ある道路で赤信号を待っているとき、前方の交差点に無駄な青信号が点灯し、 目の前の信号と入れ替えに赤になることは運転者なら誰もが経験したであろう。 うまく制御されている信号とそうでない信号が車両の実効速度や燃費、運転の安全性、 さらに運転者の感情に与える影響の違いは非常に大きい。

 この問題を改善するために高度交通システムの最適化分野で多くの研究がなされている。 中にも、実用化されたのはGreenWave法である。この手法では、 適切にコントロールされた交通信号が車群の到着直前に青になり、 運転者にとって青い波がやってくるような信号同期制御法である。 欧米中多くの都市において実験的運用が導入されている。しかし一方、 多くの問題点も発見され、対向車線と直行道路への悪影響、 幹線道路入口と出口に渋滞を引き起こしやすい現象などが挙げられる。

 我々の研究グループでは、GreenWave法の改善を目指し、 車両走行効率の向上を目的とした信号制御方式GreenSwirlおよび経路案内法GreenDriveを提案している。 対象地域の交通量特徴に基づき、車両流入の多い地区に向けて、 複数のGreenWave道路を渦巻き状に配置する。これを優先道路と呼び、 進入した車両は理想状態においては出るまで無停止に規定速度で走行することが可能である。 特定方向方面の車両が走行しやすくなる半面、交通量分布の歪みによる渋滞、 その他の方面を走行する車両への悪影響を防止するために、提案手法は運転者へ経路案内を行う。 特定の道路に車両が集中しないよう、事前を持って交通量負荷を分散させながら、 各車両に目的地へ最も到着時間が短いと思われる経路を案内する。 (川井 明)