【2014/4/24 定例研究会の模様】

日本の世代間格差の現状
〜2012年度世代会計の推計〜

水谷剛 准教授

 本報告では、世代会計の手法や先行研究を紹介するとともに、先行研究の手法 をベースとして2012年度世代会計の推計を行い、日本の世代間格差の現状を示した。

 世代会計は、1991年に米国の経済学者コトリコフらにより世代間公平を定量的に示す指標として 提唱された。世代会計は、政府の支出・収入を個人の受益・負担として捉え、それぞれの受益・ 負担項目を世代別に分配・現在価値化して集計することで計算される。世代会計の計算では、 政府の異時点間の予算制約を前提としており、今後生まれてくる将来世代が先送りされた 政府債務をすべて返済するとの仮定が置かれている。

 日本においても、多くの研究者により世代会計の推計が行われ、現在世代と将来世代の 世代間格差が大きいことが示されている。本報告では、先行研究(増島・田中(2010)) の手法をベースとして、日本における2012年度世代会計の推計を行い、日本の世代間格差 の現状を確認した。

 本報告の推計結果をみると、多くの先行研究で示されているとおり、日本において現在世代と 将来世代の間に大きな世代間格差があることが示された。ただし、同じ手法を用いて基準年度を 変更して推計した2008年度の世代会計と比較すると、2008年度から2012年度にかけて世代間格差が やや縮小する結果となった。この要因の一つとして消費増税(世代会計では、 すでに決定している政策は推計に反映させることがルール)の影響が考えられるため、 2012年度基準で消費増税が実施されなかったと仮定して推計を行い2008年度基準の推計と比較すると、 2008年度から2012年度にかけて世代間格差が拡大することが示された。このように消費増税 が現在世代と将来世代の間の世代間格差の縮小に寄与していることが報告された。

 研究会では、参加者の皆様から、将来世代のみが先送りされた政府債務を負担することの 妥当性などについて大変有益なコメントを頂き、この場を借りて感謝申し上げたい。 (水谷剛)