【2014/10/30 経済学部講演会の模様】

韓国経済の現状と今後の日韓関係

経世論研究所所長、経済評論家、中小企業診断士

三橋貴明

 今回は、経済評論家で中小企業診断士、経世論研究所を主催される三橋貴明氏をお招きして、 「韓国経済の現状と今後の日韓関係」と題する講演会を行った。三橋氏は、数年前不況に喘ぐ日本で 「躍進する韓国経済に学べ」という声が横溢するなか、いち早く韓国経済の問題点の核心を唱えられ、 以後は韓国のみならず中国経済やまた日本経済全般、さらに原発問題や移民問題等にわたっても鋭い評論活動を行ってきた気鋭の評論家である。

 まず三橋氏は、一般的な所得創出のメカニズムから説き起こされ、韓国経済は、 特に1997年の通貨危機に際してIMF管理下に外資が牛耳る少数の財閥に経済が統合され、 法人優遇政策とウォン安政策のもと輸出を拡大したが、多くの家計はむしろ低賃金と高物価のなかで負債を増大させていったと説く。 韓国の実質的な失業率は公表されている数値よりはるかに高く、 幼年期から厳しい競争の結果大学を卒業しても企業へ就職できるものは少なく入社した正規社員も時給制で競争に晒され、 国民全体の労働参加率も低い。そして教育費の家計負担がさらに家計負債を増大させていく。

 しかも韓国の輸出入依存度は、OECD主要国の中でも特に高いが、スマートフォンなど韓国からの輸出品は、 日本等から輸入する電子部品や機器や原動機、機械部品を用い、それらを組み立てたものが主流である。 こうした脆弱な貿易構造の中で、いまや輸出を支えていたウォン安・円高の構造が崩れ、中国などのより低価格製品に圧迫されて、 経済全体が苦境に立たされているという。

 三橋氏は、中国経済の現状にも触れ、政府の資金供給による莫大な固定資本形成と低賃金と外資に依存した輸出攻勢に支えられた中国経済も、 社会資本や建築物も供給過剰のため人の住まない建築物や都市が累積し、賃金高騰で生産現場を他国へ移す外資系企業が続出し、 公害による自然破壊も極限に達するなか暴動が頻発し、これをそらすため内外への軍事的緊張が増し、軍事費も著増している。 韓国も中国もこうした社会経済の低迷・混乱の中で、反日攻撃が激化し、日本との軋轢も増している。

 本講演には、学生・市民等約120名が集まり盛況であった。講演後も学生や社会人からいくつもの貴重な意見表明や質問がなされ、 三橋氏はそれらに丁寧に答えられた。中韓経済の現状と今後日本が歩むべき道を考えるうえで実に有益で示唆に富む講演会であった。  (文責:筒井正夫)