【2014/6/4 経済学部講演会の模様】

台湾企業のグローカル戦略

Kai-Wen Hsieh
(台湾・国立高雄海洋科技大学運籌管理系)

 本報告の目的は、海外に進出している台湾外食産業のケーススタディを通じて、 グローカリゼーション(以下、グローカルと略称する)のあり方について考えることである。

 「グローカル」は高度抽象的な概念であり、それについての見解も多岐にわたっている。 この言葉は「グローバリゼーション(世界普遍化)」と「ローカリゼーション(地域限定化)」 から由来しているため、世界に同時に広がっているスタンダードと、 地域の特色や特性が相互に結びついて意味を与え合うような現象である。

 海外進出戦略としてグローカル化を進める代表的な多国籍企業は、マクドナルドが挙げられる。 マクドナルドは現地市場に浸透させるためには、進出先の文化・嗜好などに適応するようにマネジメントの手法などを修正している。 例えば、中国やタイのマクドナルドでは店の外観やイメージキャラクターの現地化が図られ、 台湾では伝統や流行文化を取り入れたキャンペーンが行われるなど、結果として多様な進出パターンを見せている。

 講演会では、台湾外食産業の鼎泰豐(ディンタイフォン)社の海外進出戦略への調査結果を報告した。 台湾を拠点とする多国籍企業は数多くない中で、同社は世界でブランドを確立している一つの成功事例である。 同社は1958年に創業、1972年に小籠包や点心の販売に事業転換し、 1993年に最も特色のあるレストランの一つとしてニューヨークタイムズ紙に選出された。 それをきっかけに同社は海外進出を積極的に行い、現在9か国で53店舗を展開している。 同社の海外進出戦略として、「常に新製品を開発」、「グローカル化」の2つに集約する。 グローカル化は「地球規模の視野で考え、地域視点で行動する」という形で具現化され、 国による文化の相違(長期志向やパワー主義、リスク回避、個人主義、男性主義など)程度に合わせ、 商品、ブランドイメージの一貫性を保ちつつ、経営では進出先によってそれぞれの現地の要素を取り入れている。 鼎泰豐は経済制度や文化、宗教が台湾と大きく異なるインドネシアにおいて、 主力商品の材料の変更(鶏ミンチ使用)やメニュの90%をインドネシアフードに改変するほど極端に現地化を図ったが、 その一方では世界共通のプロモーション政策などにより高級なブランドイメージを一貫して維持している。鼎泰豐の事例は、 海外進出の際にビジネスモデルのグローカル化が求められていると示唆している。

 質疑応答では、グローカルの定義や、地域の中小企業のグローカル化、グローカル戦略の事後的・事前的な論理、 鼎泰豐が日本に進出した際に図った差別化などについての議論が交わされた。  (Kai-Wen Hsieh ・ 陳 韻如)