【2013/9/26 経済学部ワークショップの模様】

《大学における外国語教授法ワークショップ》

「インパクト」を与える話し方の学習
 :オーストラリア国立大学日本語授業における
 「デジタルストーリーテリング」

キャロル・ヘイズ (オーストラリア国立大学アジア太平洋学部)

 本ワークショップでは、オーストラリア国立大学アジア太平洋学部で日本語を教えている キャロル・ヘイズ先生に、「デジタルストーリーテリング」(以下DS)を使った教授法とその効用について、 DSプロジェクトの実施方法と学生が作成したDS の作例分析を通して、ご講演いただいきました。

 DSとは、「マルチメディアを使って個人の経験や感情から生まれた自分にとって大事なことを、一人称、 つまり<私>の立場から語るもの」で、学生は日本語授業の課題としてDSを作成します。中級コースを 対称にした課題で、基本的には、滋賀大学でいうところの2回生にあたる学生たちが取り組みます。この クラスは、週に5時間の授業で構成されており、それが13週間(1学期間)続きます。

 DSは、学生も教員も膨大な時間をかけて作成されています。学生はまずテーマを決め、内容に合った画像 や音楽を編集し、第8週目には日本語ナレーションの下書きを提出します。教員のフィードバックを受けて、 学生はナレーションを書き直します。この作業の繰り返しによって、DSの完成度があがっていく仕組みに なっています。

 ワークショップでは、学生が作ったDSをいくつか見せていただきました。DSの中で、各学生は、自分にとっ て大切なもの・出来事・テーマを選び、映像・音楽・写真などを効果的に使いながら、なぜそれが自分にと って大切なのか、日本語のナレーションで説明していました。

 各作品には、文法ミスがあるものや、発音が聞き取りにくいものもありましたが、それでも、内容は充分に 理解できるものに仕上がっていました。教科書通りに「駅にはどう行けばいいですか」「桜が咲いています」 など、決まったフレーズを文法的に正しく話せることよりも、多少文法ミスがあっても、文法ミスを恐れずに、 <自分(の意見)を伝えられること>、つまり自己表現ができることのほうが、学生にとって価値があるの ではないか、というヘイズ先生のご発案には、語学教員として考えさせられました。日本語で感情や意見を 表現できることが実感できれば、学生の自信につながる、というヘイズ先生のご意見に共感を覚えました。

 グローバル人材育成という曖昧な表現にとらわれず、「グローバル人材育育成のためには、創造力があり、 失敗を恐れずに挑戦し、いろいろな文化圏の人とコミュニケーションがとれる人材育成が必要である」とい う具体的な目標を持ち、その目標達成をめざして構成されているオーストラリア国立大学の日本語授業。発 表後には、本学部教員と学生をまじえ、授業構成・内容、成績評価の方法など、さまざまな視点から、議論 や意見交換が活発にかわされました。 (文責:菊地利奈)