【2013/7/26 経済学部ワークショップの模様】

《大学における外国語教授法ワークショップ》

大学生に実践的に英語を教える
  : TEDとQuickReaderを使って

黒田 航 (杏林大学医学部英語学教室講師)

 7月26日(金)16:00より、杏林大学の黒田航先生に「大学生に実践的に 英語を教える: TEDとQuickReaderを使って」という題目でご講演いただきました。黒田先 生のご専門は言語の認知科学で、その専門知識を生かした独自の教授法を開発・実践して おられます。

 まず、「英語を好きでない学生が有意義に感じる授業設計」をするという前提に立ち、 言語を「教える」というよりは、「コーチする」という立場で、学生に実践的に英語を読 ませたり聞かせたりすることを中心に、授業を展開されています。

 Readingに関しては、まず多くの大学生が精読の能力・英文法の知識はある程度あるもの の、実用的な速度で読むことができていないと分析し、「実用速度で読むとはどのような ものなのか」を実感させ慣れさせるためにQuickReaderというソフトを使用しておられます。 このソフトは読むペースを1分間に何語にするかを自由に設定することができ、その設定に 応じて英文の一部が順次ハイライトされ(一度にハイライトされる語数も設定可)、学生 はそれを目で追っていくことで、速読体験・訓練をすることができます。ここで黒田先生 の独特なのは、学生に英文の意味の理解を求めない点です。とにかく英文を一定の速度で 目で追わすのですが、パターン認識力(数語のまとまりを同時に捉える力)を高めるとい う認知科学的根拠もあり、実際に受講生も英文に対する抵抗感が減ったなど、達成感を感 じているとのことでした。

 Listening能力向上に際しては、TED(Technology Entertainment Design)の講演を題材に し、Audacityというソフトを用い1〜2分程度の断片に分割し、3回ほど繰り返し聞かせて空 所補充をさせているとのことでした。TEDの講演は話題が幅広く、学生の多様な興味にも対 応可能であり、長い講演も短い断片にすることで学生の集中力を持続させるなど、学生が 飽きないよう様々な工夫を施しておられています。

 ときに、教師は「学生にこれくらいの能力を身につけてほしい」と思うあまり、学生の 興味や習熟度にあまり重きを置かずに授業を行い、結果、学生の学習効果が上がらないと いうことがありますが、黒田先生は、「『これくらいの能力』を実際に身につけさせるた めには、教師は何をすべきか」、「学生に興味を持たせて課題をやらせるためにはどうす べきか」という点を重視され、毎回、学生から授業内課題の感想を聞き、次回の授業に反 映させているという点に特に感銘を受けました。 (文責:出原健一)