【2013/7/25 定例研究会の模様】

車車間アドホック通信で目指す快適で安心な道路交通環境

梅津高朗 准教授

無線アドホック通信とは、既存のインフラや固定の基地局などに頼らない 通信方式である。無線アドホック通信では、通信機器は基本的に、その場、その時に近く に存在する他の通信機器との間で近距離の無線通信を行うが、互いに互いの通信を中継し あうことで遠方の機器間でも情報交換が行えるような仕組みが用いられる。利用に際して インフラ設備を準備する必要がなく必要な時に必要最小限だけ利用できる特性から低コス トな運用が可能であるなど、様々な利点を有しており、次世代の通信方式の1つと目され、 多くの研究開発が進められている。

その応用例として、交通渋滞や事故の情報を他の車両に知らせるために無線アドホック通 信を用いることについても議論されている。ここでは、カーナビゲーションシステムなど の車載機器や、スマートフォンなどで構成された車車間での無線アドホック通信に関して 講演者らが行ってきた研究を紹介する。

まず、危険な運転を行う車両の内、速度違反車両を無線アドホック通信を用いて検出する 手法を提案した。高速道路や一般道での無謀な運転や不注意運転による他のドライバーへ の危険が問題となっており、もし、これらの危険行為を行う車両の接近を、他のドライバ ーへと、その車両に遭遇する以前に知らせることができれば、多くの事故を減らせる可能 性がある。日本の多くの道路では、カメラや速度センサーを用いた速度違反車両の監視を 行っているが、この方法には、監視地点でのみ速度を落とすことで、検知されずに速度超過 を行うことが可能であるという欠点が存在する。我々は、車両自身がセンサーとなり、周 囲の車両と協調して速度超過車両の検出を行う事で継続的な速度計測が可能となり、この 問題は解決できると考え、車車間協調危険車両検出プロトコルを考案し、シミュレーショ ン実験によりその性能を確かめた[1]。

他にも、様々な情報を効率よく車車間で共有する方法や、車車間通信で集めた情報を用い てCO2排出量を最小化するような信号制御を目指す手法などに関しても、研究成果を紹介する。

[1] Takaaki Umedu, Kumiko Isu, Teruo Higashino, C. K. Toh : “An Inter-Vehicular Communication Protocol for Distributed Detection of Dangerous Vehicles”, IEEE Transactions on Vehicular Technology, vol. 59, no. 2, pp. 627-637, 2010

(梅津高朗)