【2013/7/5 経済学部講演会の模様】

震災復興国土強靭化のための秘策
−インフラ危機を救う高耐久化技術−

丹野政志 (高耐久化推進機構代表)
筒井公平 (同事務局長)        

 はじめに、筒井公平氏(高耐久化推進機構事務局長)から本講演の主旨が述べら れた。すなわち、東日本大震災の勃発から2年2カ月を経過した今年の5月20日、「防災・減災等 に資する国土強靭化基本法案」が国会に提出され、今後10年間で200兆円の事業規模が打ち出され たが、今後、耐久性の限界を超えた社会資本の割合が急速に増加し、人と建物・施設の高齢化が同 時進行するなかで、こうした国土強靭化のための予算が真に老朽化・腐食化の危険が迫った建造物 の保全に有効に用いられなくてならない。そのためには、建造物の高耐久化をロウコストで賄える 最新技術の導入が不可欠である。また、現在社会インフラの点検、保守管理、修繕する専門部署は 自治体にもなく、実務を遂行できる人材さえも十分いないという現状に鑑みる時、社会インフラを いかに安く、長くもたせるか、すなわち「高耐久化」することができるのかという発想が、必要に なってくる。さらに地震や津波の襲来に耐えうる建造物やその活用法に関しても、実際の日々の生 活や仕事との関係も含めて高耐久化技術の適用方法が研究される必要がある。

 本講演では、長引く不況と公共事業予算が縮減され続け、建設産業が沈滞化していくなかでも、京 都大学や大阪大学において長年に亘って研究開発され、一部は実践に移されながらも多くが「眠っ たお宝」として活用されてこなかった貴重な技術やノウハウが多面的に紹介された。この分野の最 先端技術者の一人である丹野政志氏は、多数のカラー写真を用いて、太古の世界遺産に活用されて いた高耐久化技術から説き起こし、現在開発された最新・最高度の技術として、防錆化粧塗膜・高 耐久化PC・水性無機塗料・発砲セラミック等を紹介され、それらが低コストで様々なコンクリート 建造物や鉄橋等の高耐久化補修に貢献してきたかを解説された。また地震・津波や原発事故への対 応についても高耐久化の技術の応用が可能であることが示され、実に有益であった。

 こうした真に国民の安心安全にとって有効な技術が、業界の既存権益の壁に阻まれて耐震工事に導 入されないならば、今後多額に投入される国土強靭化のための予算も、本当の意味で我々の命を災 害から守るための施設建設には結びつかないであろう。

 会場には、建設関係の専門家も含めて、約50名の参加者が集い、熱心に聴講され、講演後は専門技 術に関わる問題や現在の復旧工事のあり方そのものに対する疑念など、活発な質疑と討論が行われ た。 (文責:コーディネーター・筒井正夫)