【2013/5/10 経済学部講演会の模様】

Long-run Growth, Business Cycles and Unemployment

堀 勝彦 (帝塚山大学講師)

 長期的な経済成長と景気変動はマクロ経済学の中心的な関心事として非常に 多くの研究がなされているが、両者は伝統的には、個別の研究対象として扱われる傾向があ った。しかし近年において、例えば、Ramey and Ramey (1995, AER)が、92のOECD諸国に関す るパネル・データを用いて経済のボラタリティと経済成長の間の負の相関関係を見いだすな ど、両者の間の関係性についての実証的な分析がなされるようになっている。またこのよう な実証研究の進展と並行して、例えばde Hek (1999, IER)が、learning-by-doing modelと human capital accumulation modelの二つの分析枠組みを用いて両者の関係を分析するなど、 理論的な分析についても行われるようになってきている。

 このような研究動向を背景としつつ、本稿では技術革新が長期的成長だけでなく景気変動 にも影響を及ぼすような簡単な内生成長モデルを構築し、長期的成長、景気変動及び失業率 がどのような相互関係を持っているかを分析した。その主な分析結果は以下の通りである。

1.長期的成長率を高める要因は、景気変動の振幅を小さくする。
2.長期的成長率を高める要因は、好況期を短くし、その頻度を高めるとともに、好況期にあ る頻度を低める。
3.長期的成長率を高める要因は、長期的な失業率を高める。
4.一時的な効果のみを持つ生産性ショックは、短期的な失業率を低めるが、長期的な効果を 持つ生産性ショックは、短期的な失業率を高める。
                                    Katsuhiko Hori