【2013/4/24 経済学部講演会の模様】

海外で活躍する人材の育成
−国際協力の現場で築くキャリア  

小林麗美(JICA青年海外協力隊隊員)

 本講演会は、本学の学生を対象に、人的資源管理に関連させたテーマ設定に 基づき、主に2つの目的で開催されました。その一つは、JICA青年海外協力隊隊員のボランテ ィア活動の内容を通じて、開発途上国の人々を対象にした現地の人材育成の事例について学ぶ ことです。いまひとつは、国際協力の現場で働くことを通じた隊員本人のキャリア形成の考え 方について学ぶことです。

 報告者の小林麗美さんは、2010年から2年間にわたり、アフリカの南西部赤道直下に位置する ガボンに派遣され、村落開発普及員として活動されました。原油・マンガン・木材の天然資 源に恵まれ、アフリカにおいては食糧も豊富な比較的豊かな地域であるそうです。現地の水産 局に所属し、赴任中は漁村にある90か所の養殖家を巡回指導し、アンケートによる社会調査を 行うなど、養殖業の普及のための活動を主にされました。平均寿命が53歳であるガボンにおい て、開発途上国に生きる人々の、日本人とは異なる職務観や時間感覚に戸惑いながらも、現地 の人々の生活の糧となる養殖業の発展のために苦労を重ねられた経験談が語られました。現地 の養殖家の人材開発のために、低コストで簡単な技術を普及させることを目的としても、赴任 当初は「外国人」として扱われ、「要求」のみしかされなかったそうです。アフリカへの国際 協力のあり方として、現地の人々の自律的な人材育成のための技術支援を主意としている日本 ですが、「技術移転のための技術」が依然として模索されているように思われます。

 今回の講演会を通じて、小林さん自身の、「働くひと」としてのキャリアについても学ばせて 頂くことができました。滋賀県内の私立大学で人類学を学び、京都の半導体メーカーで2年間 勤務された後、協力隊に参加し責務を果たされました。小林さんの仕事観は、「人のために役 立ちたい」という信念に支えられ、社会人経験を経たのちに協力隊に応募することも学生時代から の計画であったそうです。小林さん自身は、協力隊での体験を経て、国際協力についてより深 く学ぶことを望まれ、今年の6月からイギリスの大学院に進学する進路を選ばれました。

 JICAの青年海外協力隊は、環境教育や保健衛生など、特定分野での隊員を募集するほか、特定 資格がない若者も参加することができる村落開発普及員のような職種においても募集を行って います。近年、日本の大学においても、英国発祥の「ギャップ・イヤー」を応用した制度を導 入するケースが増えてきています。大学入学資格を持つ入学前の新入生や在学生が、留学、国 内外のボランティア活動、長期インターンシップなどの課外活動を通じて、複数のキャリアを 体験するという制度です。小林さんのように、大学卒業後、就職し、国際協力の現場でボラン ティアを体験するというような若者が、今後の日本では増えていくことも期待されます。日本 政府の成長戦略の基本方針にも「海外で勝てる若者」の育成が示されています。本講演会に参 加された学生の皆さんにとり、自分自身の進路やキャリアについて幅広い選択肢から考える一 つの契機になれば、と思います。 (経済学部 澤木聖子)