【2012/9/28 経済学部ワークショップの模様】

<公共政策ワークショップ2012>

近江八幡市民のまちづくり

吉田正樹 (近江八幡市総合政策部長)

 本年度春セメスター大学院講義「公共政策」を締めくくる講義に、近江八幡市総合政策部 長であり、本学OBでもある吉田正樹氏をお招きし、標記テーマでご講演いただいた。

 当日は、「まちを商品化したら駄目、まちを想う人を増やすことが大切」と題された講義 録をもとに、1980年代ぐらいまでの末端自治から、頭脳は地域であり、メニューは地元が 創れる先端自治の時代へと変化したなかで、まちづくりはどうあるべきかを中心に、行政 の役割、公務員の心構えなどについてあつく語っていただいた。

 近江八幡市における具体的事例に触れながら、心が通わなければ「遺産」も「遺物」になっ てしまう、50年後の住人が愛することのできるものか否かがまちづくりのポイントであり、 子孫が誇りを持って暮らせる風景を残す必要がある、切り捨ててきた古い価値観をもうい ちど見直してよいのではないかといったまちづくり論、行政は起爆剤ないしきっかけであ って、地域を守れるのは地域の人しかいないという基本認識に立ちつつ、官ができること は官が、民ができることは民がというように、官には官の役割があることを示唆された行 政の役割論、公務員市民という自己認識が大切であって、公務員という自覚のみであれば まちづくりで時間外勤務まではできないといった心構え論など、具体例に即してのお話だ けに、おおいに説得的であった。とくに公務員志望の学生には得るところ多かったと思う。

 質疑では、アパートに住む学生等の地域住民意識が希薄な人々にどう働きかけるか、市 民の参加意欲を誘う仕掛けとはなど、興味深い論点をめぐって貴重な助言を与えていただ いた。そのなかで、まちづくりには観光客誘致といった損得勘定の視点も必要なのではと いう質問に対して、人が住む街をつくろうとすればまちの商品化は志向すべきでないこと をあらためて強調されたのが印象的であった。

 当日は、近江八幡市の西津市会議員も聴講に参加くださるとともに、筆者の求めに応じ て、自らの体験を交え若い人々に向けたメッセージをくださった。地域住民として身銭を 切るという場合、お金のみでなくいっしょに汗を流すというやり方も大切であること、力 づくで引き寄せようとするとむしろ逃げてゆくという二宮尊徳の教えの引用など、突然の 求めにもかかわらず、真摯に貴重なメッセージを下さったことに感謝したい。

 ご多忙ななか、貴重な時間を割いて、公務の一環としてではなくボランティアとしてま ちづくりについてお話を聞かせてくださった吉田正樹氏にあらためて厚く御礼申し上げる とともに、参加した学生さんたちには今後のキャリアのなかでぜひ学んだところを生かし てほしいと願う。
参加者 18名  文責 梅澤直樹