【2012/8/8 経済学部ワークショップの模様】

<フクシマ以降のエネルギーを考える>

エネルギー・環境の選択肢に関する説明会

内閣官房戦略室・説明会担当官

 2010年、政府はエネルギー基本計画の全面的見直しを行い、2030年までに原子力 に電源の5割近くを依存する計画を立てた。しかしながら、1年もしないうちに東日本大震災が 起こり、「原子力は安全であるという大前提が揺らぎ、原子力発電に依存したエネルギー選択を 白紙から見直し開始」することを政府は決定した(括弧内は内閣府国家戦略室のウェブサイトよ り。以下同様)。

 今回のワークショップでは、政府のエネルギー・環境会議によって示された、中長期的に「原 発依存度を可能な限り減らす」ための3つのシナリオについて、内閣官房戦略室より説明員をお 招きしてお話を伺い、理解を深めた。

 質疑やフリーディスカッションを含めた全体の印象は、各シナリオにはそれを作る際に必要と なる様々な仮定があり、その仮定によって、各シナリオの示唆する結果は大きく変わりうるとい うことである。

 例えば、わずかな割引率であっても、遠い将来の廃棄物処理コストの現在価値は無視できるほ どに小さくなってしまう。発電方式毎の費用も、仮想的にプラントを作って発電したらどうなる かという推計(モデルプラント方式)を使うのか、実際の発電コストで見るのかで、結果は大き く違う。太陽光パネルの価格や、天然ガスの価格なども、現時点では国内価格は国際価格と大き く乖離しているが、国内価格を使うのか、国際価格を使うのかでも、結果は異なる。

 それ以外にも、例えば「経済」の状況をGDPでのみ評価しているが、これも様々な観点から問題 が多い。紙幅の関係でひとつだけ挙げるとすれば、原発を稼働し続けた場合には、2030年までに フクシマ級の事故が起こる確率があり、特にそれが福井であれば関西圏、浜岡であれば中京から 関東にかけて産業構造が大きく影響を受ける可能性がある。つまり、推計モデルそのものの変更 が余儀なくされるわけで、それを考慮していない推計モデルの結果にどれほどの意味があるのか 分からないということである。

 いずれにせよ、シナリオ毎に示された数字を鵜呑みにするのではなく、その数字が算出された 背景までしっかり読み解くことが肝心であるが、一体どれほどの市民が、そこまでのことを考え て判断をしているのか、不安になった。          (文責:中野桂)