【2012/6/18 経済学部ワークショップの模様】

<フクシマ以降のエネルギーを考える>

原発のホントのコスト

木村啓二
公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構主任研究員

「フクシマ以降のエネルギーを考える」と題する連続ワークショップの第2回目 の今回は、これまで政府や電力業界が主張してきた「原子力発電は他の電力と比べて安い」と いう主張について、どのような仮定や根拠でそのような主張がなされているのかを検証し、そ の主張が東京電力福島第1発電所事故の後、どのように変わってきているのかについて検討を 行った。

講師は、ひょうご震災記念21世紀研究機構の主任研究員である木村啓二氏にお願いをした。

まず、従来のコスト計算は仮想的なモデルプラントに基づく推計で、それによれば原子力は 石炭火力やLNG火力、一般水力に比べてKwhあたりの発電単価が安くなることが示された(電気 事業分科会、2004)。

しかしながら、事故後に開かれた国のコスト等検証委員会では、事故リスク費用や政策経費、 さらに温暖化対策などを加味して計算し直すと、それぞれの発電コストは拮抗することとなっ た。

また、木村氏は、事故以前に大島堅一教授(立命館大学)が、有価証券報告書を使って、実 際にいくらぐらいかかっていたかを試算した結果を紹介した。特に、一般水力についてはもっ とも発電単価が安く、原子力や火力の半額以下であり、改めて仮想的なモデルプラントを使っ た試算と、実績との違いが浮き彫りになった。水力については、原発同様に40年とするのか、 それともより実績に近い60年とするのかで、発電単価は大きく異なってきてしまうからである。

検証委員会は事故費用は下限として5.8兆円を見積もっているが、除染費用(正確には移染費 用であるが)がいったいくらかかるのか、健康被害は果たしてどの程度出てくるのかなど不確 実な状況である。また、居住権という基本的人権を喪失した人々における非金銭的な損害や、 村や町に存在したであろうソーシャル・キャピタルの損失など、考慮すべき課題は山ほどある ように思われた。                                   (文責:中野桂)