【2012/6/1 経済学部ワークショップの模様】

<フクシマ以降のエネルギーを考える>

311を観る

綿井健陽 (映画監督)

本学の立地する滋賀県は関西電力管内にあり、これまで原子力発電に対する 依存度が大変高い。全国的にも東京電力福島第1原発事故以降の、エネルギーのあり方について は盛んに議論されているところであるが、福井県における大飯原発再開問題に見るように、 今後のエネルギーのあり方については関西においては特に重要な課題である。

そこで、本年度、経済学部の教員5名により、「フクシマ以降のエネルギーを考える」と題す る連続ワークショップを企画した。

第1回目となる今回のワークショップでは、映画監督・綿井健陽氏をお招きして、311とは なんであったかについて、一緒に考えることから始めることとした。綿井氏は、震災発生直後 から、福島をはじめとする東北各地の現地取材をおこない、映像で記録を残しておられるが、 今回は、講演にあわせて映画「311」(監督:森達也、綿井健陽、松林要樹、安岡卓治)を 上映し、その後に綿井氏とのディスカッションを行うという形式で行われた。

まず、映画「311」についてであるが、福島県の映像では、放射線測定器が高鳴る中、大 きな橋とかが−おそらく長周期の共振による破壊なのだろうが−崩壊する一方で、一般住宅は 何もなかったように建っている姿が印象的であった。対照的に宮城県では、津波という巨大エ ネルギーによって、人々の暮らしていた家々が跡形もなく木屑と化している様に息をのんだ。 一般住宅を見る限り、それは人的災害と自然災害の違いを表していた。

ディスカッションでは、当時の取材規制や、報道のあり方、綿井さんが取材を続けておられ る今の福島の状況などについても話があり、意見交換を行った。

映画にも登場するが、福島県の双葉町には「原子力の明るい未来のエネルギー」という看板 が掲げられている。しかし、それが本当にそうであるのか、私たちは、福島の経験を起点とし て考え直さねばならない。その意味で、連続ワークショップの第1回目にふさわしいワークシ ョップとなったように思う。                                   (文責:中野桂)