【2012/12/13 定例研究会の模様】

都市の持続可能性をはかる

森 宏一郎 国際センター准教授

師走の多忙なときであり、また、本報告が純粋に経済学に関するものでは ないことから関心を持つ方が少ないようで、出席者は4名のみという寂しい会となりました。本研究会 では、メガ都市を対象にした新しいサステイナビリティ指標(CSI: City Sustainability Index) の開発について、どのように進んでいるのかについて中間報告させていただきました。

サステイナビリティという言葉はわりと有名になってきているのですが、非常に多数の研究者によって バラバラに定義が与えられており、操作可能な定義が与えられていません。また、未来可能性 (Futurability)という時間軸を明確化した概念もあります。しかし、具体的に都市を評価するための 指標に落とし込むためには、十分に操作可能な定義となっておらず、指標開発のために定義をつくるこ とが必要です。

新しい都市評価指標の要件は4つあります。(1)環境・経済・社会の3つの側面を考慮し、それらの3つ の間で評価を相殺しないこと。(2)都市外部への悪い影響を評価すること。(3)都市には自然地がほと んどなく、都市は経済活動に特化した開発地で占められているという特殊性を考慮すること。(4) 同 じ指標を用いて先進国と発展途上国の都市を評価し、特定指標の影響から偏った評価をしないこと。 既存の持続可能性評価指標の中には、これら4つの要件を全て満たすものはありません。したがって、 これらの要件を全て満たす指標の開発に取り組まなければなりません。

さらに、都市評価指標を開発するうえで、熟考しなければならないことがあります。一つは評価基準 です。持続可能かどうかを判定するためには、都市間の相対評価ではダメです。いかに絶対的な基準 を設定するかを考え出さなければなりません。もう一つは、環境効率で評価するべきか、環境負荷総 量で評価するべきかという問題です。実は、人口が集中して経済活動を行っている都市は環境効率的 です。例えば、一人当たり二酸化炭素排出量は都市化率が高いほど低くなります。他方、人口が大き くなると、排出総量は大きくなりますが、地球規模の気候変動問題は排出総量に起因しています。し かし、負荷総量で評価すると、人口が大きいだけで評価が悪くなり、都市間比較がうまくいきません。 これらの問題について、暫定的にいくつかの解決案を温めているところです。
                                         (森 宏一郎)



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