【2013/3/28 経済学部講演会の模様】

メキシコにおける環境問題

Arthur Viianto LARI (グアナファト大学教授)

  3月28日(木)午後2時から4時まで、グアナファト大学(メキシコ)の Arthur Viianto LARI教授による「メキシコにおける環境問題」と題した講演会が行われ ました。ラリ教授は、まずメキシコの位置や気候など全体的な紹介をしたうえ生物多様性 やエネルギー利用状況および問題点、そして今後のエネルギー利用の展望について述べま した。

 メキシコは、南はアメリカと北はグアテマラ、ベリーズと接している国です。面積は約 200万平方キロメートル、人口は1億1,234万人で人口密度が非常に低い国です。メキシコの 気候は多様でさまざまな動物や植物などが生息する生物多様性に富んでいる国です。また メキシコは天然資源の豊富な国でもあります。1970年代には石油輸出国となり、外貨の流 入が大きくなります。石油埋蔵量は世界18位で約122億バレルが埋蔵されていると推定さ れ、これは世界の0.7%を占めることになります。「オランダ病」を考えると豊富な天然資 源が必ずしも高い経済成長を可能にするとは言えません。メキシコでも石油輸出の代金と して多額の外貨が流入しましたが、その大部分は生産性向上のために投資されたのではな く浪費されたり、政治家の腐敗を誘発しました。

 CO2排出量においては、中国やインドなどと比べるとメキシコはまだ少なく大きな問題に はなっていません。これはまだ貧困層が多く、エネルギーに対する需要が低いからです。 しかし貧困層の所得水準が上昇すればいずれCO2排出量は増えると予想されます。メキシコ はエネルギー生産に大きな潜在力を持っていますが、2009年のエネルギー生産構造をみる と火力発電や水力発電に依存するところが大きいです。しかし、次第に火力発電は減少し ていく反面、地熱発電や風力発電が増えてきています。これは企業などが生産したエネル ギーを国の電力会社に販売できるように法整備が行われたからです。

 メキシコは世界第4番目の地熱エネルギーを生産する国として現在27エリアが地熱エネル ギーの生産が可能であることが確認されました。バイオマスやバイオディーゼルエネルギ ー分野においてはまだ遅れています。このようにメキシコは、エネルギーにおけるポテン シャルは非常に高いですが、送電過程でのエネルギーの損失が大きくなっています。これ は技術的な問題というより盗電によって起こる損失が大きく、生産された電力の13%以上 に上ります。

 メキシコは環境問題よりも今解決しなければならないもっと重要な社会問題をたくさん 抱えている開発途上国です。経済成長の足枷にならないように生物多様性は保全されなけ ればなりません。環境にやさしい地熱発電、風力発電、光電池エネルギー、バイオマス、 そして潮力発電などへのエネルギー生産構造の転換が必要です。 (文責:経済学部准教授  金秉基)