【2012/11/26 経済学部講演会の模様】

バッハ VS バッハ !?
   〜J.S. BachとC. Ph. E. Bach〜

大嶋義実(京都市立芸術大学教授)
ヤロスラフ・トゥーマ
   (プラハ芸術アカデミー准教授)

 11月26日(月)午後7時から8時半まで、経済学部講堂において、 京都市立芸術大学大嶋義実教授とプラハ芸術アカデミー、ヤロスラフ・トゥーマ准教授に よって、表題の講演と その内容をフルートとハープシコードによる演奏で実践的に示す 「講演と公演」が行われました。 これはお二人による講演「チェンバロ&フルートデュオ  コンサートシリーズ」 の第三弾で、大嶋先生の専門的で学究的な内容をわかりやすく 解説される講演とお二人の世界的音楽家の演奏に、学生、教職員および一般市民の方々が 楽しく学ぶことができる貴重な三回目の機会となりました。

 ドイツ古典音楽の偉大なヨハン・セバスチャン・バッハとその次男カール・フィリップ ・エマニュエル・バッハ。二人の過ごした時代と場を、彼らの音楽は如実に物語っていま す。息子はプロイセンの啓蒙専制君主フリードリヒII 世に仕え、啓蒙(enlightenment) の名にふさわしく、彼の生み出す全ての音には光があたっているかのようです。対して 父大バッハはあくまで教会にとどまり、宗教世界に深く潜り込む音の探求に生涯を捧げま した。息子は父に対立していたのでしょうか。大嶋先生はこれまで大バッハのものとされ ていたけれど、実は息子のものであったのではないかと思われる作品を、音の点、見つか った楽譜の点などから読み解いて下さいました。細かく解説していただくと、二作曲家の 違いを実感できましたが、長い間ずっと大バッハのものとされていたほど、類似している のです。つまり、大きな枠組みとして同じ時代を生きて来た二人のもつ共通点は大きく、 でも同時にやはり生きた世界の違うということが明らかに音に反映されているのです。音 楽はヨーロッパの歴史と社会を解き明かす鍵になるかもしれないということを、名演と分 かりやすい解説で示して下さいました。両者のフルート・ソナタ、組曲、チェンバロのた めのソロ曲、リュートのために書かれた曲など、両バッハの様々な面を見せてくれる作品 を演奏して下さると同時に、休憩の際やアンコールではピアソラのタンゴやゴスペル風の 「アメージング・グレイス」など、味のちがう曲をも演奏して下さることで、聴衆の気持 ちをほぐして下さいました。

 過去2回もそうでしたが、専門的な内容を実際の演奏で裏打ちされるので、すぐに生き た知識となって受容することが可能となりました。

 大雨のなかお二人で楽器を運び込んで下さったのですが、前回講堂内の湿度が80パー セントを超え、湿気に弱いチェンバロがトラブルを起こした経験を生かされリハーサルは 京都のスタジオで行われ、開演直前に到着、聴衆の前で楽器の組み立て、調整などをして 下さったのも我々には貴重な機会となりました。

 寒い大雨のなか市民の方々にたくさん来ていただきました。講堂内では明るくあたたか く心地よく刺激的な時を過ごしていただけたと思います。 (経済学部教授 真鍋晶子)