【2011/11/11 経済学部講演会の模様】

フクシマの現場から

和田 喜彦 (同志社大学教授)

 今回の経済学部講演会は、学生自主企画の滋賀エコプロジェクト主催の 「滋賀エコキャンドルナイト」の実施に合わせて企画されたものである。開催場所も 通常の教室ではなく、講演に先立って近江八幡を中心に活動している2人組の「あり らん食堂」(とりいしん平さん、きむきがんさん)による演奏があり、とても和やか な雰囲気で始まった。

 講師の和田喜彦先生(同志社大学経済学部教授)は、環境指標研究の―特にエコロ ジカル・フットプリント研究の―第一人者であるが、原子力開発(核開発)問題にも 長年にわたって取り組まれてきた。氏はまず冒頭で、原発労働者からの搾取や原発マ ネーの中毒性といった観点から、今日の原子力開発全体の構造を「原発ファシズム」 であると規定し、その後、自らかかわった福島市における除染活動や、アメリカやオ ーストラリアのウラン鉱山を巡り、現地の先住民などから聞き取りを行った経験など について報告された。

 除染活動の困難さや福島市内にもきわめて高線量のホットスポットが存在すること、 さらにはウラン鉱山の開発によって先住民の土地が汚染にさらされている状況など、 現地調査の様子を生々しく語り、そのうえで、原子力開発がいかに「正しくないか」 ということについて力説された。

 講演会参加者からは、「高い汚染地域の住民は強制的にでも移住させた方がよいか」 「利害関係者などの構造が複雑になっているが、具体的にはどのように対処すればよい か」といった趣旨の質問がなされ、活発に議論された。

 和田先生はあえて「正しさ」という主観的な基準を判断基準として持ち出されたわけ であるが、科学と倫理の関係について深く考えさせる大きな契機となった。
                                              文責 中野桂