【2011/11/10 経済学部講演会の模様】

世界から見た「日本の七不思議」と
「中国の五つの爆弾」

岩國 哲人 氏
(バージニア大学経営大学院客員教授、
南開大学周恩来政府管理学院客員教授、
前衆議院議員、元出雲市長)

 11月10日、午後2時30分より、春に引き続いて岩國哲人の2度目の講演会が、 滋賀大学経済学部講堂にて行われました。テーマは、“世界から見た「日本の七不思議」と 「中国の五つの爆弾」”というもので、副題に「世界の中の日本、アジアの中の日本を考え るために」と付されています。

 「日本の七不思議」とは、ニホンまたはニッポンという「日本」の呼称の問題や日本国憲法 の成立やその本質にかかわる問題、あるいはいまだ他国の陸・海・空・海兵の軍隊すべて に駐留を許している日本の現状、国連加盟から55年経った今でも「敵国」呼ばわりされてい る日本の立場、人権平等を唱えながら参院4倍、衆院2倍の選挙権の差別を認めている現状、 そして8月15日を「敗戦の日」と呼ぶか「終戦の日」と呼ぶかあいまいにし続けている戦争 認識のあやふやさについての問題に論及されたものです。いずれも、日本国家の本質や戦争 等の歴史認識、さらに国際秩序の中の日本のおかれた状況の本質を鋭く突くお話でした。

 続いて目覚しい経済発展を遂げるとともに多くの問題点を抱え、日本の将来にとっても重要 な影響をもつ中国の現状について、とくにその問題点に関して「5つの爆弾」として説明さ れました。一つには、少子高齢化と急速な工業化が進むなかで深刻さを増す食糧問題、二つ には、目覚しい工業発展を支えるためのエネルギー不足問題、三つには、「一人子政策」が もたらす若年労働力不足問題、四つ目は、森林破壊や砂漠化の進行がもたらす水資源の枯渇 化の問題、そして五つ目には、若年層の減少と高齢者の増大によって高齢者介護問題が深刻 な事態に立ち至っている点を指摘されました。

 特に、最後の高齢者介護問題については、あまり広く認識されていない重要な問題であり、 まさに目から鱗が落ちる指摘でした。現在中国の高齢者の多くは、日中戦争の惨禍に遭われ 日本に対して厳しく複雑な感情を抱く世代であることから、福祉や介護に関して高度な技術 や経験を持つ日本が、いまこそ中国が直面しているこの問題に援助の手を差し伸べれば、そ のことがやがて歴史認識をめぐる両国間の溝を埋め相協力し合って今後の発展臨める途であ ると説かれました。ご講演は、平易でユーモアあふれる語り口で会場を和ませながら進めら れましたが、その内容はいずれも現在の日本が抱える内外の問題を広い国際的な観点から指 摘されたもので、大いに参考になるものでした。

 参加者は、学外からの一般参加者70名、学内学生・教員等30名、計約100名と、盛況でした。
                                       (文責:筒井正夫)