【2011/5/19 経済学部講演会の模様】

「地震を越えて日本の自信」

岩國 哲人 氏
(元メリル・リンチ米国本社上席副社長、
前衆議院議員、元島根県出雲市長、
南開大学周恩来政府管理学院客員教授)

 5月19日午後2時30分より、滋賀大学経済学部講堂にて、岩國哲人氏を招い て経済学部主催の講演会が行なわれました。「地震を越えて日本の自信―巨大地震の中に 発想の転換と新鮮な政策を打ち出せ 災害に強い街づくりとエネルギー小国・消費大国か らの脱却―」と題するこの講演会は、経済経営研究所が企画し、滋賀大学就業力育成協議 会の共催、 彦根商工会議所並びに滋賀大学経済学部陵水会の後援を得て開催されたもの です。講演会は、東日本巨大地震という未曾有の国難に直面して、今後日本はどのような 新たな発想で対処していったらよいのかというテーマで行なわれ、長年地方政治や国政に 携わり、アメリカやアジア諸国にも広い交流をもたれる岩國哲人氏が、今後の経済・財政 ・エネルギー対策等にわたって幅広いご見解を開陳されました。

 岩國氏は、まず災害復興を果たしつつ老後も安心して暮らせる社会を目指すための財政 再建・経済復興策として、莫大な利子支払いに喘ぐ国債発行に代わって政府紙幣の発行を 主張されました。また少子化を食い止め、安心した老後を望める社会にするための年金改 革策として、「皆負担、皆年金」を原則としたわかりやすい一元化した制度設計が必要で、 基礎年金部分は、財源を年金保険料の代わりに消費税で賄い、その上に各人の所得に応じた 3コースの選択制度を設け、現在不明朗な年金の納入・受取の記録は各人の「年金カード」 によって明確に確認できるという改革案が提示されました。

 また政府紙幣発行によって経済全般の復興とともに、被災地については政府買い上げによ る復興を果たします。さらに物資や情報流通を迅速化して経済活性化を図るとともに災害 時の対応策としても高速道路の整備が特に重要であり、原則無料化し、全国多数の料金徴 収所を廃止する必要性を訴えられました。

 次に、資源小国・消費大国日本の今後のエネルギー対策として、喫緊には、先進諸国が 実施しまた韓国でも実質的に行なわれているサマータイムを導入し、先進諸国中類を見な い多さで普及している自動販売機の撤去を行なうべしとされ、これによって原子力発電所 数基分の消費電力が賄えると説明されました。さらに根本的な対策としては、風力・火力・ 水力・植物などのバイオ・金属・土中など自然エネルギーの多様な活用と開発の必要性を、 カレンダーの曜日になぞらえてわかりやすく解説されました。資源小国に見える日本も、 自然エネルギーに着目すれば豊富な資源大国であるとし、脱原発のための大胆な発想の転 換を訴えられました。

 そのほか今後の日本をリードしていく企業や経営者のあるべき姿、また自治体改革の方 向性等についても、グローバルな経済人として武田薬品、伊藤忠商事、日本生命、オムロ ン等一流の企業人と接してこられた体験や出雲市長時代に様々な斬新な改革によって地方 自治体の活性化・復権を図られた経験をもとにして、貴重な提言がなされました。

 こうした岩國氏の実際の自治体・国政での改革実践やグローバル経済での活動に裏打ち された、高邁で筋の通った未来への提言は、来場した多くの市民・学生たちに、深い感動 とともに、今後日本復興に向けた静かな勇気を与えたといえましょう。

 講演後は、岩國氏の主張する政府紙幣発行や年金改革案等をめぐって活発な質疑応答が 交わされました。来場者は200名を超え、会場の講堂は満杯となり盛況でした。講演会の 準備に当たられた関係各位に感謝いたします。

 今秋(10月頃)には、国際問題をテーマに今一度岩國氏の講演会を予定しています。ぜ ひ多くの人の参加を期待しております。(文責:筒井正夫)