【2011/2/22 経済学部ワークショップの模様】

<近現代地域問題研究会>

京都ベンチャー企業・オムロンの挑戦
―その成功の要因を探る―

鶴吉健一(本学社会人学生)

 オムロン(前・立石電機)は戦後飛躍的な成長を遂げ、交通制御システム・金融シ ステム、駅務システムなどの画期的な製品で知られるユニークなベンチャー企業である。本報告は 、そのオムロンに40有余年勤務し、生産や技術開発の第一線で活躍したのち本学社会人学生とし て研鑽を積み、今期卒業を迎えた発表者が、自らの体験とオムロンの成長期(1955年頃から1 990年頃まで)を振り返りながらその軌跡と成功要因について語ったものである。

 オムロンは戦後しばらくして、オートメーション機器専門メーカーとして名乗りを上げた。いち早 く先行したオートメーション機器市場で確実に基盤を築きながら、高度成長の波に乗って大量に生 産される民生機器・業務機器などの消費財内蔵用制御機器に事業を拡大して飛躍的な成長を遂げる。 その一方で社会の潜在ニーズを探ることから創出される先行的な製品を開発し、ベンチャー企業・ 未来志向の会社としての評価を獲得してそのプレゼンスを確立していった。

 その成長過程と事業戦略は一見大胆かつチャレンジブルであるが、その根底に存在するものは創業 事業の自動制御哲学であり、あらゆるものを制御の対象とすることで多様でユニークな事業展開を 可能にすることができた。また先行のアドバンテージを有利に生かしながらも、常にその高度化と 革新を継続したことがその優位性を失わないための大きな活動であったと語る。

 また既存の延長線上に将来事業を描くという考え方でなく、未来予測に立った将来社会の中に自社 の姿を描き、それを具体的な事業や製品に展開するという創造型のビジネススタイルが未来を先取 りし、常に一歩先行するオムロンのビジネスを可能にしたとしている。これはオムロン独自の未来 予測論「SINIC理論=イノベーションの円環的展開」に基づくものである。現状に寄り添うよ りも、未来予測に立った自社の考え方や製品で顧客や社会を開拓し牽引するために技術開発志向が 強く、社風も施策もチャレンジブル・ベンチャー的である。

 このように本報告によって、オムロンの独創的な経営の根幹と成長の軌跡が鮮やかに描き出された。 報告後の討論では、オムロンの成長モデルの特徴や今後の経営方針などへの質疑応答が活発に行わ れ幕を閉じた。参加者は、教職員3名・学生6名・大学院生3名・社会人1名の計13名であった。 (文責:筒井正夫)