【2010/6/16 経済学部講演会の模様】

地域金融機関の成長戦略

山田 督
(関西アーバン銀行取締役副会長)

 関西アーバン銀行副会長・山田督(本学1971年3月卒業)氏より、びわこ銀行 前頭取としての立場から、関西アーバン銀行との合併(2010年3月1日)の経緯として、@経営 環境や今後の人口減少を踏まえ、経営が順調なうちに手を打つ必要があったこと、A第2地方 銀行という中途半端な位置づけであったこと、B銀行の収益構造上、低い預貸率や薄い総資金 利鞘の水準を考慮すると、資金利益の増加には規模の拡大が必要であったこと、等の説明があ った。また、与信コストの恒常的な発生や将来のシステム投資負担、資金量4〜5兆円以上を超 えるとOHR(経費率)の劇的な低下がみられること、バーゼルUの枠組み強化(自己資本の質の 向上)への対応やいびつな年齢別人員構成への対応等を踏まえると、今後とも、資金量1兆円規 模の銀行(旧びわこ銀行)が滋賀県内で単独で経営していくことは難しく、(資金量4兆円規模 となる)旧関西アーバン銀行との合併が、最良・最高の解決策と考えたこと、なお、今回の合併 は、決して追い込まれて行った合併ではなく、将来を見据えた極めて前向きな戦略的合併として 決断したことが強調された。

 また、旧びわこ銀行の取引先や株主からの「滋賀県からびわこ銀行という名前と本店(大津市) がなくなるはさびしい」の意見に対しては、米国のノーウェスト銀行(総合金融サービス業)が 資金量2.5倍のウェルズ・ファーゴ銀行(旧来の商業銀行)との合併後(新銀行名ウェルズ・ファ ーゴ)に総合金融サービス業として成功したという事例を引き合いに出し、「銀行は名前や本店所 在地ではなく、商品やサービスなどの中身で勝負することが大事」ということを説得して回ったと のエピソードが紹介された。

 さらに、新銀行の成長戦略としては、三井住友銀行の子会社というメガバンクの持つ信用力、情 報力、金融ノウハウを活用し、滋賀県内にマーケットを限定するのではなく、(オランダ並みの GDP規模を持ち、琵琶湖水系でつながっている)滋賀、京都、大阪といった関西エリアにおいて 「存在感」の高い広域地銀(「関西のマザーバンク」)の実現を目指していきたいとの発言があ った。

 なお、聴講者からは、「今回の合併の経緯が経営不振ではなく前向きな合併であったことがよ く理解できた」「銀行に内定(または就職を希望)しており、現場の経営者からの熱心な説明に より、将来のイメージができた(とても参考になった)」「米国ノーウェスト銀行の小が大を飲 み込むという事例は非常に興味深かった」「これからも関西アーバン銀行を応援していこうとい う気持ちになった」「グラフや資料が詳しく説明も丁寧であったので、とてもわかりやすかった」 等の意見が多く出された。

 今回の講演の開催に対してご尽力いただいた関西アーバン銀行の関係者の方々、経済経営研究所 に対して、重ねて感謝の意を表したい。(本講演の参加者は約300名。)
                                       (経済学部准教授 原村健二)