【2010/3/9 経済学部ワークショップの模様】

<Asian Studies Workshop 伍>&
<Texture in Cultural Backyard W>
高等商業学校研究のいくつかの、いくつもの、かたち

阿部安成 教授

 今回のワークショップの報告内容は、既刊、近刊のつぎの論稿を参照して ください。@阿部安成「大学史関係資料の保存と公開と活用について:滋賀大学経済経営研究 所と東北大学史料館を事例として」(滋賀大学経済学部Working Paper Series No.125、2010年 1月。永田英明との共著)、A同「デジタル化の誘引:滋賀大学経済経営研究所と小樽商科大学 百年史編纂室を事例として」(同前No.未定、2010年3月刊行予定。平井孝典との共著)、B同 「大陸に興奮する修学旅行:山口高等商業学校がゆく「満韓支」「鮮満支」」(『中国21』 vol.29、2008年)、C同「旧制彦根高等商業学校というフィールド:歴史の読み書きをレッ スンする教室」(『図書』第698号、2007年5月)。また、一橋大学附属図書館と長崎大学経 済学部東南アジア研究所での、東京高等商業学校修学旅行報告書と夜学講習についての調査 報告は、近刊の滋賀大学経済学部Working Paper Seriesで発表する予定です。
 ここでは、報告の意図やねらいについて記すこととします。滋賀大学経済経営研究所(以下、 研究所)は、その源は1923年に彦根高等商業学校に設けられた調査課にさかのぼります。お おまかにいえば、その調査課(時代によって研究部となる)が集めた書籍や報告書、文書な どなどが現在の研究所と本学部附属史料館に引き継がれています。両者では数量の多寡とい う違いはあれ、それぞれにそうした歴史資料に関連する史料や文献を収集し、整理し、公開 したり研究に活用したりしています。ただ、研究所が所蔵する彦根高等商業学校が収集した り刊行したりした史料は、これまで、前者の一部である「旧植民地関係資料」が台湾史や中 国史などの研究者によって利用されたり、後者が自治体史の編纂のために参照されたりした ことがあっても、それらをまるごと、彦根高等商業学校の動態や、高等商業学校という学知 を考えるために活用されたことは、ほとんどありませんでした。いま、研究所の所蔵資料は 保存と公開の環境が整えられ、以前にくらべるとだいぶ閲覧しやすくなり、活用の可能性が ひろがったとおもいます。

 これらの資料は歴史学を専攻する研究者の独占物ではありません。経営学であれ経済学であ れ、その領域でなにかしら歴史を考えようとするときに活用しうる資料が、そこにあるかも しれません。あるいは、現在の滋賀大学経済学部において、自分たちの学問のプリンシプル をその連鎖において考えようとするときの、なにか手がかりがあるかもしれません。かつて 彦根高等商業学校では、調査課とはべつに図書課がおかれ、それが現在の附属図書館につな がっています。このキャンパスにはさまざまな場所に多用な史料があります。今回の報告で は、それらを活用する1つのサンプルを示してみました。報告副題の「散開」と「啓開」は 軍事用語でもあります。わたしたちの研究という作戦を展開させる、その1つのサンプルで もあります。(出席者9名。阿部安成) 上の写真は、彦根高等商業学校の卒業アルバムに掲 載された修学旅行における「奉天」での記念写真。