【2009/10/1 経済学部ワークショップの模様】

地域経済イノヴェーション&地域ブランド研究会・
近現代地域問題研究会


彦根の近現代を切り開いた地場産業(3)
地場産業を支え続けた滋賀銀行の歴史と
今後の戦略

十二里和彦(滋賀銀行彦根支店長)

 この講演会は、学内の二つのワークショップ・同プロジェクト科目が対象とするものでもあり、地場産業の歴史・現状・展望を経済と文化の両面から掘り下げる試みの一環である。今回は、滋賀銀行彦根支店長十二里和彦氏を講師にお招きし、滋賀銀行の歴史を振返りつつ、現今の金融危機のなかからどのように経済復興を果たしていくのか、金融サイドからの戦略と展望をお話いただいた。

 講演では、まず滋賀銀行創立当時の状況を振返り、「自分にきびしく 人には親切 社会に尽くす」という行是から説き起こされ、社会貢献と堅実経営を柱とした経営理念を説明された。続いて、過去4回の世界大恐慌と戦後高度成長からオイルショックに至る不況の過程を振返り、京都経済や滋賀県下の地場産業の動向を不況下で支え続けた実態について解説された。

 そして現今のサブプライムショックに発した金融恐慌、世界恐慌に対して、滋賀銀行が、政府の「緊急保障制度」に則りながら中小企業に対し旺盛な資金支援を行っている実態を明らかにした上で、共存共栄に向けた「3つのブランド戦略」について説明された。一つには「知恵と親切のしがぎん」をモットーとして、新たな事業展開や相続対策に腐心する個人や企業に「問題解決型」の提案活動、経営課題解決のため「基礎的内部各付手法」を用いた企業経営分析の提供、キャッシュ・クレジット・ローンの3機能をまとめ、時間外手数料が無料なエスティオカードの発行、企業家精神をサポートする「サタデー企業塾」の開設、エコビジネスのパートナーの出会いの場を提供する「エコビジネスマッチングフェアー」の開催等を行っている。二つには、「アジアに強いしがぎん」を掲げて、2008年近畿地銀で唯一の海外支店「香港支店」が開設15周年、上海駐在員事務所開設五周年を迎えて活躍する実態が報告された。三つには、「CSRのしがぎん」として「エコプラス定期」「エコ&耐震住宅ローン」「琵琶湖原則支援資金」「カーボンニュートラルローン」「ニゴロブナ放流図」等、琵琶湖の環境保全、耐震住宅普及、二酸化炭素削減、固有の食文化維持といった社会貢献を金融面から支援する多面的取り組みを紹介された。

 今後はさらに、成長マーケットへの戦略的進出を果たしつつ、新設の浜町研修センターを拠点とした人材育成を柱に、不況脱出のための企業支援と環境保全を両立させるために金融面からの多様な取り組みを果たしていきたいと抱負を述べられて、講演は終了した。

 講演後、企業経営者、主婦、学生、教員等から突っ込んだ質疑が出され、活発な討論が行われた。参加者は、市民45名、学生25名、教員・職員10名、合計80名を数え、盛会であった。(筒井)