【2009/6/26 経済学部ワークショップの模様】

<Asian Studies Workshop 伍>
東北大学史料館における史料情報の公開
−大学アーカイブズの管理・公開をめぐる課題

永田英明(東北大学史料館)

  東北大学史料館は、1963年に東北大学記念資料室として発足した。現在では、博物館、植物園とともに東北大学学術資源研究公開センターの機関となっている。この史料館が収集する資料は、(A)東北大学が作成・管理する資料(@大学法人文書、A大学刊行物)、(B)大学内の各種組織が作成・管理する資料、(C)大学構成員の個人資料(大学に関するもの)である。
  2007年に制定された国立大学法人東北大学法人文書管理細則には、保存期間が満了した法人文書は、史料館で「歴史的資料価値の評価を受けるものとし、歴史的資料価値が認められると評価されたものは、史料館へ移管する」と記されている。これにより、史料館への文書の移管率は、3〜5%とのこと。点数にして年間100点くらいとなり、およそ95%の文書が廃棄されていることとなる。史料館では、コスト、スペース、仕事量、人員、予算をふまえて、学内の各部署でまず評価選別をおこない、そののちに史料館に文書が移管されるような手順をとっているという。
  報告内容については、本サイトとはべつに公開する予定の滋賀大学経済学部Working Paper Seriesを参照のこと。
  史料館では、画像データベースの利用頻度が高いという。学内外から写真利用の申し込みがあるとのこと。また、少しでもニーズを見込めるような情報を公開してゆくとの方向性が示され、「身の丈にあったアーカイブ」がよいとの発言もあった。
  本学部では、大学または学部アーカイブの検討がうたわれながらも、その議論はまったくといってよいほどおこなわれていない。東北大学とは、まるで環境が異なる。一方で、オープンキャンパスのポスターや、創立60周年に寄せて刊行された広報誌には、わたしたちの歴史をあらわす写真が掲載されている。ヴィジュアルな画像資料は、ひとの目を引きやすいし、確かに利用頻度も高い材料だろう。わたしたちの学部でも、写真の蓄積は少しずつ増してゆき、整備もされつつある。こうした素材の整備と公開を端緒にして、アーカイブというものの認知を広めることも1つの方途となるだろう。
  また、アーカイブとは、たんに古い資料の保管庫なのではなく、みずからの来歴と現状を精査し、必要に応じて改良するための司令部ともなりうる機関である。アーカイブの議論にあわせて、みずからの「身の丈」を知ることもよいだろう。(阿部安成。出席者5名)