【2009/6/25 経済学部ワークショップの模様】

地域経済イノヴェーション&地域ブランド研究会・近現代地域問題研究会

彦根の近現代を切り開いた地場産業(2)
彦根仏壇の挑戦―歴史と現状―

宮川孝昭(株式会社永楽屋代表取締役社長)


 この講演会は、学内の二つのワークショップ・同プロジェクト科目が対象とするものでもあり、地場産業の歴史・現状・展望を経済と文化の両面から掘り下げる試みの一環である。今回は、江戸時代からの老舗仏壇店であり、彦根の仏壇業界を常にリードしてきた永楽屋仏壇店の現取締役社長宮川孝昭氏を招いてお話いただいた。

 宮川氏は彦根仏壇の歴史を振返られたなかで、彦根仏壇の発展にとり特に重要なこととして強調されたのは、一つには明治後期の重要物産同業組合法に則って結成された彦根仏壇同業組合の活動であり、この組合の活動により、組織的に仏壇の品質検査を行って彦根仏壇の質の向上が図られて販路も拡張して行ったという。今ひとつは、戦後、昭和50年に通産大臣の指定する「伝統的工芸品産地指定」を受けることが出来たことで、これにより京仏壇のブランド名の陰に隠れていたイメージを払拭して名実ともに彦根の地場産業の工芸品として世に認められ、その後も数々の賞を受賞して声望を高めていった。また戦後高度経済成長期には、従来の問屋制家内工業の形態から工場生産の形態に大きく踏み出して生産を拡大し、「作れば売れる」という発展期を迎えたという。

 だが彦根の仏壇製造の特徴としては、多くの家内工業の副業によって支えられていることの意味は大きく、七職といわれる分業のさらに裾野に広大な部品や素材製作の家内工業が控えていて、その恩恵を忘れてはならないと強調された。今日の未曾有の不況の中では、まさにこの家内工業の意味をもう一度捉えなおし、将来の地場産業存続の途を探っていきたいと話された。

 また彦根仏壇の業界でも安価なコストで製造可能な中国への進出も見られたが、宮川仏壇では、中国進出の様々なマイナス面も考慮して進出を行わなかったことが、良かったと述懐された。

 講演後、仏壇の歴史や技術面、また将来への展望や新たな需要開拓等についても質問がなされ、活発な質疑応答がなされた。参加者は学生、約40名、一般市民、約60名、計100名であった。
                                            (文責 筒井正夫)