【2010/1/12 経済学部講演会の模様】

会計基準の国際的コンバージェンスと
その日本への影響

佐藤信彦
(明治大学大学院会計専門職研究科長,
公認会計士試験委員)


 近年の会計を取り巻く環境は,日々変化している。とりわけ,国際会計基準 (以下,IFRSという)の導入を巡る議論は,会計専門家だけでなく,広く注目を集めている。 巷ではIFRSの導入を見込んだ商売がはやっているようであるが,わが国に対して大きな影響力 をもつアメリカにおいて導入されるか否かは予断を許さない状況であるという。このような状 況であるからこそ,われわれには,IFRSを理解することに終始するのではなく,現状を冷静に 見つめ導入・非導入の影響を考えておくことが求められているといえる。学部学生を対象とし た本報告は,かかる問題意識にとって,格好の手引きとなる内容であった。

 氏は,まず,現在IFRSを設定している国際会計基準審議会の前身である国際会計基準委員会 の設立の背景とその意義から説き起こし,次いで,国際会計基準審議会への組織替えについて 説明された。その中で,IFRSの特徴や,IFRSを巡る国際的動向についてもふれられた。

 これらをふまえ,氏は,IFRSと日本の会計基準の主要な相違点について説明された。まず, 企業会計原則の基礎には収益費用利益観の考え方が,また近年設定された会計基準の基礎には 資産負債利益観の考え方があることが指摘された後,収益認識,金融商品会計,損益計算書の 区分などの具体的な項目につき,日本基準とIFRSの相違点が説明された。

 最後に,氏は,日本の会計基準設定のあり方,IFRS教育,判断の規準などに関して,問題提 起をされた。

 わが国において実際に基準設定にも携わる氏から国際会計の最新動向について聞くことがで き,学生にとっても,じつに意義深いものであった。なお参加者は,学生・教員をあわせて約 40名であった。                                      (文責:山田康裕)