【2009/6/30 経済学部講演会の模様】

Is the Water Any Better?

David J. Eaton
(米国テキサス大学オースティン校 リンドン・B・ジョンソン公共政策大学院 教授)

 水質改善に向けた数多くの政策・プロジェクトに共通する重要な問いの1つは、実施した結果どの程度水質が改善されたかである。この問いに対する答えとして、本報告では統計的手法と質的・量的データを統合した「メタ評価」の手法が紹介された。

 メタ評価手法は水質に関する複数の指標に基づき、政策・プロジェクトの実施による水質改善の度合いを空間的に評価することが可能である。またこの分析手法は、対象となる流域・湖沼が評価基準の異なる複数の行政区分をまたいでいる場合でも有効であることが説明された。

 分析の対象となったリオ・グランデ/リオ・ブラボ川は、米国とメキシコを2,000Kmに渡り隔てる国際河川であり、北米大陸において水質汚染がもっとも深刻な主要河川でもある。その主要な原因として、河川が流れる米国テキサス州およびメキシコ4州の間で水質基準も環境対策も大きく異なることが挙げられているが、従来的な手法では河川全体の政策評価をおこなうことは困難であった。本報告では上述のメタ分析手法を同河川に適用し、下水道整備プロジェクトの実施などによる下流域の水質改善効果について紹介し、分析手法の有効性が示された。

 講演会の出席者数は学外の研究者も含め10名で、報告後は活発な質疑応答が交わされた。なお公演および質疑応答は英語でおこなわれた。
                             (田中勝也 環境総合研究センター・経済学科)