【2008/3/31 経済学部ワークショップの模様】

――Asian Studies Workshop 参―
「20世紀香港における阿片貿易「問題」の再検討:あるペルシア阿片商に着目して」

古泉 達矢
(東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻)

  古泉報告は、ペルシア系インド人による、あるいはイラン生まれで、のちにボンベイに居住し、さらに香港にうつった商人による阿片貿易の議論がおこなわれました。かつての「帝国主義」の議論、そしてアジア間貿易論の展開をふまえながら、現在の「帝国」をめぐる研究情況を地域研究につないでゆくことが課題として掲げられた報告です。
 自由貿易が1つの国際ルールとしてあるなかで阿片貿易がおこなわれ、しかし、それを禁止する規範ができてゆくなかでの阿片をめぐる動態をとらえようとした報告でした。  阿片が悪かそうでないのかという議論があります(そして、必要悪か?)。同様に、帝国(かつての帝国主義)も植民地(あるいは植民地主義)も悪の支配だったのか、仁政の実施や発展の基盤だったのかという議論があります(そして、ここでも同様に必要悪かとも問われる)。
 こうした二元論や二分法の議論を超えようとするとき、歴史研究は、あくまで史料に即して議論すること、また、たとえば阿片なら阿片という対象が、現実世界でどのように機能したのかをとらえること、こうした作業が意味を持つと考えさせられた報告でした。 出席者5人。(阿部安成)