【2008/3/27 経済学部ワークショップの模様】

―Texture in Cultural Backyard U―
「英語教育現場における自学自習の役割
  :授業課題としての自学自習とプロンプト
  の効果」

菊地利奈 准教授

  ここでは、学生が英語という言語を習得するために、自学自習がどのような役割をはたすのか、という教育学上の議論について、過去2年間に収集した約250名の学生のデータの分析結果をもとに、報告しました。外国語を習得するためには、日々の努力がかかせないものであり、学生は毎日その言語に接することが望ましいとはいえ、現状のカリキュラムではそれだけの語学授業時間は確保できないものです。ですから学生には、授業時間以外で語学を学習してもらい、語学能力習得に必要なだけの学習時間を確保してもらうおう、という発想が、現在のEラーニングの自学自習ソフトの基盤にある発想だと思います。
  この研究は、実際に学生にEラーニングソフトを使ってもらい、学習時間と学習パターンとが、英語のリスニング能力向上にどのような影響を与えるのかを分析するために構成されたものですが、残念ながら、2年間のデータでは、まだはっきりとその関係性がみいだせない状態にあります。そのひとつの理由は、コンピューターを利用した学習システムを維持するには、毎年少なくない予算を計上する必要があり、さらに学生の英語能力を定期的に測るためには、たとえば、TOEIC-IPやCASECなどを利用することが必要となるので、常に予算との戦いがそこにあるからです。
  さらに大きな問題は、予算をつぎこみ学習環境を整えたとしても、学生が自主的に英語を学習するとはいえない状況にあることです。全国語学教育学会でも、もっとも関心を集めるトピックのひとつは、「学生にどのようにやる気をおこさせるか」であり、どの教育機関でも教員はあの手この手で学生のモチベーションアップのために、苦心しているのが現状です。本研究では、授業課題として自学自習を取り入れることで、学生の勉強時間を増やすことを計画し、その目標を達成するためには「プロンプト」(教員が学生を叱咤激励して学習を促す)が劇的に効果を発揮することをつきとめました。また、いわゆる「マシンガン・クリック」の問題も、プロンプトを効果的に利用したり、小テストをとりいれたりすることで、回避できる可能性が非常に高くなることもわかりました。
  その結果、どうやら、学習時間よりも学習パターンのほうが自学自習においては重要であることがわかりつつあります。学習時間の長さ以上に、英語を勉強する頻度が、能力の伸びに影響を与えるようです。ですから、短時間でいいので、なるべくこまめに、できることなら毎日、Eラーニングで自学自習を継続することが、効果的だと思われます。また、「社会で英語は重視されている」という認識が強い学生ほど、リスニング力の伸びが大きいこともわかってきました。学生に本気で英語を習得したいと思わせるためには、「英語が必要不可欠だ」と思えるような国際社会が前提にあることが、なによりも必要なのかもしれません。
  (菊地利奈)