【2008/7/3 経済学部講演会の模様】

地域密着型金融と課題

西澤由紀夫
(滋賀銀行取締役総合企画部長)

  滋賀銀行取締役総合企画部長の西澤由紀夫(にしざわゆきお)氏(昭和53年滋賀大学経済学部・経営学科卒)より、「地域密着型金融と課題」という演題でご講演いただいた。今回の講演は、3、4回生等のある程度金融や経済を学んだ学生を対象に、金融の実務担当者より、地域密着型金融(リレーションシップバンキング。以下「リレバン」という。)の現状や課題を解説いただくことがねらいであった。
  はじめに、リレバンのアクションプログラムが策定に至るまでの経緯や同プログラムの解説が行われた。 次に、西澤氏は、「リレバン」と「トラバン」を下記のように定義づけた上で、金融庁が政策として指示するリレバンだけを行うのではなく、リレバンとトラバンと投資銀行業務の組み合わせ(ポートフォリオ)こそが、これからの金融機関に必要な経営戦略である点を主張された。
(西澤氏の定義づけ)
 リレバン: 取引先をしっかり熟知することにより、1先1先を手間暇かけてしっかり解決(ソリューション)していく相対型のビジネス(いわば、百貨店やブティックのようなもの)
 トラバン(トランザクションバンキング): 手間暇をかけない、価格(ローコスト)追求のマス対象で、リレバンに相対するビジネス(いわば、スーパーやディスカウントストアのようなもの)
  また、西澤氏は、(昨年4月以降の)リレバンの取組みの恒久化は、リレバンが地域金融機関が生き残るためのビジネスモデルと位置づけられたとともに、自己責任経営が求められることになったという意義を紹介し、リレバンの取組みには、コスト管理と高度なリスク管理が不可欠である点を強調された。
  さらに、滋賀銀行のディスクロ誌やCSRレポートなどを参照しつつ、同行は、「知恵と親切のしがぎん」(信用リスク格付の取引先企業への開示など)、「アジアに強いしがぎん」(アジア進出ニーズへの支援など)、「CSRのしがぎん」(環境経営の取組みなど)の3つをブランド戦略として、金融庁の取組み以前から、リレバンに取り組んでいることなどが紹介された。
  なお、他の金融機関との将来的な再編の可能性に関する質問に対して、西澤氏は、合併・統合はコストとの戦いであり、滋賀銀行は、これからも独自経営を進めて地域との共存共栄を図ることが使命であると考えており、そのためには命をかけてリレバンに取り組んでいくことが大事である、との発言があった。
  最後に、銀行を志望する学生に対して、採用面接に臨む際の心構えなどについてのアドバイスを残されて、講演を終了した。(本講演の参加者は約100名。)
  今回の講演の開催に対してご尽力いただいた滋賀銀行の関係者の方々、経済経営研究所の皆様及び力石伸夫理事に対して、重ねて感謝の意を表したい。
                            (経済学部准教授 原村健二)