【2008/5/30 経済学部講演会の模様】

日本市場における財務諸表監査に係るレピュテーションの検証

佐久間 義浩 (富士大学経済学部専任講師)

  近年,財務諸表監査にまつわる不正事件が次々と明らかにされている。その中でも,エンロン事件の衝撃は,粉飾額もさることながら,決算書をチェックするゲートキーパーの存在でもある公認会計士が加担したのではないかということもある。そこで,本報告では,公認会計士がかかわった粉飾事件,とりわけ日本市場でおこったケースを具体的にとりあげ,そのクライアントの株価にどういった影響を与えるか考察したものである。
  まず,報告では事件の経緯に関する説明がなされた。その後,Chaney and Philipich[2002]をベースとして,粉飾決算企業に関するネガティブイベントと監査法人に関するネガティブイベントにわけ,それぞれのイベントごとのCARを推計した。その結果は,先行研究と異なり,一様にネガティブに反応しないことが示された。
  報告の途中および後で,先行研究とは異なる実証結果に対する解釈,リサーチデザインについて質問が出され,さらにイベント・スタディーに関する研究手法などにも話がおよぶなど活発な議論が行われた。