【2008/5/13 経済学部講演会の模様】

グローバリゼーションの時代と
わが国製造業の海外直接投資

安間 匡明(あんま まさあき)
国際協力銀行大阪副支店長

  グローバリゼーション下で、対外直接投資やわが国製造業の在り方が注目されている現在、この分野の第一線で活躍をしておられる安間氏に、最新のデータと65ページに及ぶ詳細なレジュメをもとに、1時間20分にわたり、熱く御講演をしていただいた。
  会場は、国際協力銀行の業務内容や日本の製造業の最新の情報を聴講しようと、立ち見も含め理事・教員・学生・院生・一般市民等約600名の大聴衆でりっすいの余地も無かった。この中で小西経済学部長の謝辞と経歴紹介の後、講演が開始された。国際協力銀行は、1999年10月、「日本輸出入銀行(輸銀)」と「海外経済協力基金(OECF)」が統合して設立され、「国際金融等業務」と「海外経済協力業務」を行っている。安間氏は1982年に日本輸出入銀行に入行され、世界銀行日本理事室副理事や審議役、国際協力銀行開発金融研究所副所長を経て現職になられたばかりである。
  安間氏は、グローバリゼーションの視点で世界経済、国際金融、日本経済、日本の製造業を分析しようとされた。レジュメの項目は、@グローバリゼーションの時代と外国直接投資、A外国直接投資(FDI)とは何か、B世界の対外直接投資動向、Cわが国の対外直接投資、Dわが国製造業の対外直接投資動向、E外国直接投資について考える、であった。各項目ごとに関連設問を散りばめられ、聴衆に適度の緊張感を与え、メリハリの効いた講演であった。
@ では、グローバリゼーションの定義と推進要因、世界経済成長の半分は開発途上国がもたらしていること、世界全体の直接投資の推移と外国直接投資の総額、開発途上国にとっての外国直接投資の意味と開発途上国に対する長期資金のネットフロー額の推移と国際収支等について考察された。
A では、外国直接投資の定義と海外直接投資、海外事業投資との差異について検討された。とくに「外国」「対外」「クロスボーダー」に資金が国境を越える一方で、収益の源泉となる事業の存在が外国にあり、リターンを求める投資主体が投資家本国にあるのであれば、広義の「外国」投資となること、これに対比されるものは国内の民間投資であることを実例にもとづいて説明された。
B では、世界の外国直接投資動向について、誰が投資をし、誰が受け入れてきたか、開発途上国向け直接投資フローとストック、開発途上国による直接投資上位5カ国等、豊富な実例で聴衆を引き付けられた。
C では、わが国対外直接投資額の規模と推移(フローとストック)、地域別分布、貿易立国から投資立国への転換、世界の中での日本の対外投資残高の地位、日本の直接投資収益(受け取り)の対名目GDP比の推移、国際競争力の強いわが国製造業、低い非製造業(金融・サービス産業・資源開発産業等)の実態について分析された。
D では、国際協力銀行開発金融研究所が実施した「わが国製造業企業の海外展開に関する調査報告書」にもとづいて、詳細なわが国製造業の対外直接投資動向の考察が行われた。
E では、グローバリゼーションのもとで、皆さんはどのようなスタンスで毎日を過ごそうとしているのか、皆さんはどのような進路を考えているのか等、身近にグローバリゼーションを感じることが重要であることを熱く語られ、最後に世界銀行の" Global Development Finance 2007"を参考文献としてあげ、講演を終えられた。                     (経済学部教授 有馬敏則)