【12/20 経済学部講演会の模様】

『Negotiation and Values』

   Peter Stockli 氏(チューリヒ大学大学院心理学研究科)

 本報告は意思決定における価値観の作用に関する調査と当該課題の心理学領域における調査手法の2つのテーマで構成された。
 個人の意思決定および交渉をはじめとした利害の調整が必要となる複数の人間の相互行為においては、当人の価値観の中に、実際の結果にいたるまでに譲歩しやすい要素と譲歩しにくい要素が存在する。後者がプロテクティッド・ヴァリューとよばれる。これは個人差水準としても測定可能だが、文化によっても異なることが想定される。また、交渉や紛争解決という相互行為においては成果に大きな影響を与える(ベイザーマン&ニール著『交渉の認知心理学:戦略的思考の処方箋』白桃書房)。
 時間的には不十分であったが、報告の後半で述べられた調査法は心理学では基本的かつ一般的な対象ながら、本学においては比較的目新しい紹介だった。意思決定におけるプロテクティッド・ヴァリューの作用は、環境問題や組織革新の問題のように様々な対立要素が絡む経営および経済の実務的課題に密接するので、有意義な報告だった。(経済学部助教授 小野善生)