【9/10・11 経済学部ワークショップの模様】

―Asian Studies Workshop 壱―
「満洲引揚資料」の整理法

加藤 聖文 氏(人間文化機構国文学研究資料館アーカイブズ研究系)

 加藤聖文さんは、海外引揚問題をご研究の1つとなさっているとともに、お勤め先でアーカイブズ・カレッジ(史料管理学研修会)の講師もご担当しておられます。一昨年2003年の本学経済学部講演会では「満洲引揚資料と歴史資料をめぐる「植民地」「敗戦」「戦後」問題」の全体テーマのもとで、「海外引揚研究の現状と課題−満洲引揚を中心に」という題目の報告をなさいました(これについては、「「引揚げ」という歴史の問い方」上・下、『彦根論叢』第348号・第349号、2004年5月・7月、を参照)。
 今回のワークショップでは、そうした研究の素材となる歴史資料をどのように整理してゆくのか、を念頭におきながら、実際に「満洲引揚資料」という膨大な資料群の整理をおこないました。ここにいう整理とは、資料の目録づくりをそのおもな内容としています。目録というと、資料の整理や公開の業務にかかわるわたしたちは、まだまだ冊子目録(紙媒体)を手放せないものの、一方で、電子データの利便性も身に染みて知っているところです。
 加藤さんからはまず、国文学研究資料館が収蔵アーカイブズの情報データベースにもちいている、事実上の国際規格EAD(Encoded Archival Description)の説明がありました。これは、いわば図書を対象としているOPACやNACSISの図書にかぎられない資料(歴史学にいういわゆる文書(もんじょ)をふくむ。ただし図書も対応可)版と考えてよい検索手段です。たとえば、わたしたちの研究所の所蔵資料はHPからでないと蔵書検索ができませんが、このEADをもちいれば、所蔵機関を横断する資料の検索が可能となります。また、データもエクセルやアクセスで作成してあれば、EADに移しかえることができます。
 そうした横断検索の可能性も遠望しながら、今回わたしたちはエクセルで「満洲引揚資料」の目録を作成しました。この資料群はすでにおおきく6つの項目に分類されて13の箱に収納されていました。しかし、実際には項目を越えて資料が混在しています。また、資料は簿冊体が多く、1つの簿冊にはそれぞれに関連しあうものの、しかし多様な資料が綴じ込まれています。資料整理にあたっては、「かたまりをつくりあげてゆく」「解題を書けるようにまとまりをつくってゆく」という加藤さんの助言のもとに、簿冊や袋といったまとまり、ひとまずの6分類というまとまりをくずさずに、個々の資料から17項目の情報を読みとって、それを入力する作業をくりかえし、目録をつくってゆきました。出席者のべ8名。(阿部安成)